第2話

episode.2
46
2026/04/09 14:49 更新










あの笑顔が、脳裏にこびりついて離れなかった。

意味を知ってしまったら、俺は、どうするのだろうか。



「星崎?なにしてんの〜」



振り返ると、ギターを背負った栖原がいた。



「いや、なんも」

「あなたの名字と喋ってたじゃん」



なんだ、見てたんだ。



「見てたの?」

「うん。……最初から全部。……星崎が何しようとしてんのかは知らねぇけどさ、一応伝えておくよ」



栖原が真面目な口調になる。



「あなたの名字の彼氏ってさ、性格にちょーっとクセあるタイプなんだよね。1年の頃、それが原因で孤立して……で、気にかけたあなたの名字が話しかけた。そこから全部始まった」



そういえば、1年の頃、栖原とあなたの名字は同じクラスだったっけ。

あなたの名字の彼氏のことは、存在しか知らなかった。顔も声も性格も、何もかも知らなかった。

そして、気になる言葉があった。“そこから全部始まった”という言葉。まるで、現在進行形で何かが起こっているかのようだった。



「……何、そこから全部始まったって」

「本人に聞きなよ。……絶対に答えてくれないと思うけど。星崎が相手なら尚更ね」



さっきからずっと、引っかかる言葉ばかりだ。

多分、栖原はあなたの名字の身に何が起こっているのか知っている。



「じゃあ、栖原は全部知ってるってこと?」

「知ってるよ。結構前に、あなたの名字から全部聞いたから」



全部知っている上で何もしないのはおそらく、何をしても無駄だということがわかっているから。

でも、それでも助けたい。














だって、好きだから。














「もしかして、助けたいとか考えてる?」



ぎくりとする。



「まぁ、そう思うよな。俺も、助けられるなら助けたいと思ってる。……でも、無駄だよ」

「無駄……」

「2人が付き合ってるのはさ、お互いが相手を好きって思ってるからじゃない。彼氏の方はあなたの名字に好意を持ってるかもしれないけど……あなたの名字は違う。“可哀想”っていう気持ちがさ、根底にあるんだよ」



首を傾げた。



「“私以外の居場所がない、可哀想な人”、“私がいないとダメな人”……みたいな気持ちだと思う。共依存、みたいな?わかんねーけどさ」



栖原はギターを背負い直して、眉を下げて笑った。



「……ま、ただの憶測だから忘れていいよ。じゃ、俺これから部活だから。じゃあな」



ひらひらと手を振りながら、曲がり角に消えていった。

取り残された俺の心には、モヤッとした何かが渦巻いていた。




















































































寝て起きても、昨日のモヤモヤは残っていた。

今日こそ、どんな手を使ってでも引き止めなきゃ。












































































































その日、あなたの名字は学校に来なかった。


































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