いふ 視点
眩しい。
それに左腕がこれでもか、という程にずきずきと痛む。
まだはっきりとしない意識の中でたくさんの声が聞こえる。
ゆっくり体を起こしてみるとみんなに囲まれるないこと目が合う。
小さく、音を零してぼたぼたと涙を流し出すないこ。
ないこって…しっかりしてるのに結構泣き虫なのかな、と思う。
自分で言うのもなんだが、何回も死にそうになっていると、そう思う。
いい加減、あっち側も一喜一憂するのも疲れて感覚が麻痺してくるころだと思うのに。
なんだか、可笑しくて。
静かに笑みをこぼすとないこの涙はさらに大粒になって落ちる。
…いまだに気が付かないのか、ないこ以外は。
俺一応起きたんやけど。
ないこも泣いてて意思疎通できてないし。
声を発するとばっ、とその場にいた一同がこっちを向く。
…うるさい。
あわただしくなった場を眺めながらベッドからおりようとするとないこが目を見開く。
どしゃぁぁぁ っ
痛い。
左腕が特に。
治療…してくれんかったんか。ちびまろめ。
体に力入らんし。
そして転んだ瞬間に倒れる前の記憶がフラッシュバックしてくる。
あれがもし、嘘だとしても。
夢だろうが現実で言われていようが。
あの言葉を、発したのはないこだった。
もしかしたら、この人は仲間だなんて思ってないかもしれない。
そう思うと、どうしてもいつも通りにはできなかった。
ぱぁぁぁ ッ
ちびまろのお陰で体は動くようになった。
左腕は治さないあたり、まだ怒っているようだ。



















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。