あなたの下の名前が生まれたのは、華やかな着物と、鈴の音が揺れる艶やかな世界――遊郭だった。
母は名のある花魁だったが、すでに身体を壊していた。
その母が一度だけ本気で愛したのが、身分違いの侍だったという。だが、あなたの下の名前が生まれたとき、男は逃げた。
それでも母は、あなたの下の名前を慈しんだ。
咳込みながらも、小さなあなたの下の名前の髪を結い、膝に乗せて物語を語ってくれた。
その中でも一つだけ、あなたの下の名前がずっと覚えている母の言葉がある。
そう言って、母はかんざしをあなたの下の名前に渡した。
それから間もなく、母は死んだ。
今日はここまでです🙄
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。