第22話

過去編 Ⅰ
222
2025/05/06 08:00 更新





あなたの下の名前が生まれたのは、華やかな着物と、鈴の音が揺れる艶やかな世界――遊郭だった。






母は名のある花魁だったが、すでに身体を壊していた。

その母が一度だけ本気で愛したのが、身分違いの侍だったという。だが、あなたの下の名前が生まれたとき、男は逃げた。

それでも母は、あなたの下の名前を慈しんだ。

咳込みながらも、小さなあなたの下の名前の髪を結い、膝に乗せて物語を語ってくれた。
その中でも一つだけ、あなたの下の名前がずっと覚えている母の言葉がある。
このかんざしは、お母さんが一番大事にしていたものよ。……いつか、あなたを守ると信じてるの
いいかい。これだけは、絶対に離してはいけないよ
そう言って、母はかんざしをあなたの下の名前に渡した。



それから間もなく、母は死んだ。



今日はここまでです🙄
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