第21話

過去編 ―Prologue―
242
2025/05/05 08:00 更新
過去編突入します。
結月もキャラも出ません(^_-)-☆
──私が、まだ何も知らなかった頃の話だ。

夜の街に、赤く灯る光が揺れていた。
この場所で生まれた私は、誰からも「子供」として扱われることなく育った。
母は病弱だったけれど、かつては誰よりも美しい女だったと、人づてに聞いた。
私は、その母からたったひとつだけ、形見を託された。
銀色の彼岸花のかんざし。
小さな私の掌には少し重かったけれど、それは確かに、母が最期に微笑んで私に渡してくれたものだった。




「いいかい。これだけは、絶対に離してはいけないよ」




母の声は震えていた。
だけど、そのときの私は、その言葉の重さを知るはずもなかった。
ただ、言われたとおりに、それを握りしめていた。

……やがて母は、静かに息を引き取った。
その日から、私の世界は変わった。
誰も私を守ってはくれなかった。
この手にかんざしを握ったまま、
私はただ、売り物になるその日を待つだけの存在になった。









そして──
十一の年。
運命の夜。
私は、「生きる」ために、初めて誰かの命を奪った。

血に濡れたかんざしを抱きしめながら、
私は知ったのだ。

この世界で、生きるということは。
心を殺すことだと。

ちなみにあなたの下の名前のかんざしはこれです
NEXT→

プリ小説オーディオドラマ