長い、永い、夢を_______
ピピピピ、ピピピピ…
高い電子音が耳につく。
これはなんの音だろうか?
_______ああ、目覚まし時計か。
「ん、ふぁ…」
目は冴えているのに落ちそうな瞼を必死に押し返し、一思いに。ぐ、と起き上がる。
目の前が真っ暗になって、くらっ、とするが。
まあ、変わらない、いつものことだ。
未だ鳴り続けているアラームを止め、ぱっと服を脱ぎ制服に着替える。
ふ、と。鏡を見る。いつもの、冴えない僕が居た。
見れる程度に姿を整え、物の少ない部屋を進み、朝食もおざなりに玄関へ向かう。
「いってきます。」
いってきますを言いたかった相手は既に居ないけれど、一応のマナーだろう。
照りつける太陽がアスファルトに反射して、きらきらと輝いている。
いっそのことからっとした天気にして欲しいものだ、
湿度が高くじめじめとしている。
「…?」
道端に何かある、捨てられた猫か何かだろうか。
いつもなら無視して学校へ行くところだが_______
今日は、何故だか知らないが。
無性に、無視してはならない気がした。
「…なんだ、ただの猫か…」
ただ、珍しい色をしている。
金とエメラルドの色をしたオッドアイの、黒猫。
やはり捨て猫なのだろうか。首輪がついている。
…随分と悪趣味な首輪だな…
『なんじゃ、貴様。じろじろと見おってからに。』
「…え?」
暑い、熱い。夏の、朝だった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!