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第1話

悲劇
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2020/11/15 02:09
こんにちは
私は明鳴みょうめいあなたです。山奥の小さな村の村長の養子です。この明鳴あなた、という名前も今の両親が付けてくれた名前です。私は親に売られた身で偶然そこにいた今の両親が買ってくれました。ここの生活は楽しくてみんな貧しいながらも幸せに暮らしていました。
私は今村の市場に来ています。
明鳴 あなた
えっと…卵と…野菜…
近所の子
あっ
あなたちゃん!
明鳴 あなた
やっほー!
この村はみな親切で新参者の私にも親切でした。
明鳴 あなた
どうしたの?
近所の子
えっと…ここ、なんて書いてあるか分かる?
明鳴 あなた
ここは…
その様な感じで暮らしていました。

…あの日までは…


ある熱帯夜、私は慌しい足音で目が覚めました。
お母さん
あなた!?入るわよ!!
明鳴 あなた
…なに?
母の焦った様な声に寝ぼけた声でそう返事をしました。
お母さん
今すぐここから逃げて!鬼が!
鬼――
たしか…主食が人間で、身体能力が極めて高い。
それが…今ここにいるの…?
お母さん
早く逃げなさい!!
明鳴 あなた
わ、わかった。
幸い私が寝ていた部屋は一階の窓際だったためすぐに外に出られた。
とりあえず町まで逃げようとした。無我夢中で走った。
しかし、ここは山奥の村。いくら急いでも一時間半はかかる。
明鳴 あなた
はぁ…はぁ…
夏の暑さのせいで体力は凄まじい速さで減っていきます。
明鳴 あなた
(…もう…走れない…)
その時、後ろからザッザッと足音がしました。振り返ると美しい臙脂色の瞳に、真っ赤な着物を着た女性が立っていました。そう、まるで、返り血の様に…
逃げた子発見♪
明鳴 あなた
え…?
さて、あなたをどう食べようかしら…♪
明鳴 あなた
まさ…か…お…に?
???
…蟲の呼吸 蝶ノ舞 戯れ。
その時、空から…まさに蝶のように女性が舞い降りてきました。そして先ほどの鬼に目にもとまらぬ速さで切りかかりました。
ちっ!…柱か。
???
おや、知ってましたか。
亞浬紗
ここは引くか…
私は魘夢殿に変わり新しく下弦の壱になった亞浬紗。以後お見知りおきを…。
そう言って亞浬紗は高く飛んで見えなくなった。
胡蝶しのぶ
…さて、大丈夫でしたか?私は胡蝶しのぶと申します。貴方のお名前を伺っても宜しいでしょうか?
明鳴 あなた
…明鳴…あなた…
胡蝶しのぶ
そうですか…あら?明鳴さん。もしかして…養子ですか?
明鳴 あなた
え?何で…分かるんですか…
胡蝶しのぶ
私の家に貴女の姉妹だと思われる子がおりまして…
明鳴 あなた
そう…ですか…。
あの…胡蝶さん。
胡蝶しのぶ
はい?
明鳴 あなた
もう少し、日が上ったら、家族を埋葬してもいいですか?
胡蝶しのぶ
…もちろん。かまいませんよ。
明鳴さん、この後行く当てありますか?
明鳴 あなた
無い…ですね…
胡蝶しのぶ
でしたら…蝶屋敷…私の家に来ますか?
明鳴 あなた
…ありがとうございます!

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