目黒side
俺は目黒蓮。師匠のもとで働くために2週間くらい前にここに引っ越して来た。
俺は祖父の代からあるMEGUROグループ株式会社の孫で親父はその2代目。もちろん俺もそれを継ぐつもりだった。
でも事故で母さんが死んでから親父は変わった。仕事でうまくいかないことがあると俺に暴言を吐いては殴られる、そんな毎日だった。
それから学校には行くものの屋上に行って授業をサボっては先生に怒られていた。いつからか不良と呼ばれるようになって、毎日のように喧嘩をしてはケガをして家に帰った。
そんな時、またいつものように喧嘩をして傷だらけになっていたある日お爺さんがいきなり
「そんなことをしても何も変わらんぞ」と言ってきた。
「家で嫌なことがあったからって、それは喧嘩しても何もかわらないだろ。」
俺はその時に初めて気付いた。
「親父と同じことをしてしまっている」と。暴力では何も変わらないし、何も生まれないということを1番よくわかっていたはずなのに。
それからこのお爺さんこと俺の師匠のお家に居候させてもらいながら学校に通った。もちろん不良もやめた。そして無事大学にも受かり、卒業。跡継ぎがいなくなるのは困るから一応親父と会ってみることにした。
久しぶりに家に帰ると、親父が開口一番「あの時は俺が悪かった。本当にすまない。」と言った。俺は前の親父に戻ったのが嬉しかったのか
「俺は気にしてない。」と口にしていた。それから今まで何をしていたのかなどあの後の話しをした。そして話題は親父の会社についてになった。親父は「この会社は俺の代で終わりにするといった。」親父によるとここのところ経営が傾いているらしい。会社全体が崩壊する前に知り合いの会社に社員を移動させ、自分もそこで働くらしい。俺は会社の名を傷つけないために働こう思っただけだからそこまで会社に思い入れはない。だから正直どっちでも良かった。そして俺は親父に「わかった」とだけ返事をして師匠のもとに戻った。
ー数日後ー
あの時の恩返しのために、師匠のところでバイトをしながら仕事を探すことにした。それから無事仕事が決まり会社の近くに引っ越すことにした。師匠のところにもたまに戻って仕事を手伝っている。
ふと「あなたの下の名前は元気にしてるかな?」なんて思った。
あなたの下の名前とは家が隣どうしで家族ぐるみで仲が良かった。俺とは4つ離れていたから妹みたいな感覚だった。
でも親父がおかしくなってから家に帰らなくなったからそれ以来会ってない。
今頃何してるんだろ…
それからまた数日後_____
俺は今日早起きをしてしまったため家の近くを散歩することにした。すると、朝日に照らされながら儚く暗い雰囲気をまとった女性が立ち止まっていた。
顔もよく見えなかったし何を行っているかは聞こえなかったけどどこか悲しそうな雰囲気だった。
それから会社に行った。そして休憩時間ができたので近くにあったカフェに行った。
俺は驚いた。そこにあなたの下の名前がいたからだ。あっちは気付いていないようだった。久しぶりに会えたことは嬉しかったけど、どこか悲しくて儚い雰囲気をまとっていた。
それからあなたの下の名前に会いたくて毎日カフェに通った。
でもその日はあなたの下の名前の顔が赤かった。休んでほしかったが何も言える立場じゃなかったので思った言葉は心のなかに留めておいた。
あなたの下の名前が倒れそうになったのをそっと支えた。やっぱり体調が悪かったのに無理していたんだと。
そして
というから
なんてついこんなことを言ってしまった。それであわよくば「連絡先が聞けたらいいな。」なんて欲深くなってしまう。それから気付いた。
俺は
あなたの下の名前のことが好きなんだと。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。