彼女がぱぁっと笑って名前を言った瞬間世界がぐるっと廻ったようだ。
勿論彼も例外では無く。
彼は心で何回も自分に言い聞かせるように唱える。
もう彼女にメロメロでそれをどうしても隠したくて、目を背けたいのだろう。
あいつも、あいつもどうせあの女が好きで、"俺"はそんな訳無くて、
甘酸っぱい苺みたいな感情が彼を渦巻く。それはもう彼の人生を"また"ひっくり返した。
無理に可愛こぶらない、あくまで普通の女の子になろうとしてる事が感じられる所がまた愛らしく、それはまた苦しい。
次に立った女の子はひらひらが似合うような、俗に言うツインテールのぶりっ子、となるだろう。
このクラスで1番かわいいと思っていたツインテールの女の子は前に発表した彼女の自己紹介を聞いて心でず ーぅっとどろどろした感情を抱えている。
俺あいりちゃんがタイプかも、いや俺はあなたの下の名前ちゃん派かも ーー
と彼女達を比べどっちが好きなどと言い合っている。
百崎は嬉しそうに笑いを浮かべ、彼女は少し悲しそうに下を向く。
必殺の首傾げでまた男子をメロメロにする。
女子から好感を持たれる訳がないが、百崎には何人かの俗に言ううざめ.という男子が着いた。
次に呼ばれたのは紫髪の男の子。
キリッとした瞳の奥には確かに彼女を押えていて。
そんな彼女は気付く素振りも無く彼の自己紹介を静かに聞いているだけ。
だが、百崎が彼の方に向いている。百崎をきゅるっ、とした目は彼を惚れさせようと必死で。
彼は彼女しか眼中になく、百崎の必殺お目目だって、きゅんとする素振りだって何も効かない。
そう言うと彼はニヤッと笑った。
彼女は何も知らない。自分が狙われてる事も、百崎に睨まれている事も。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。