【渡辺side】
突然メンバーが集められ、突然知らされた仲間の脱退。
それどころか、あなたは病気にかかっていたことを告げられる。
俺も、きっとみんなも頭はパニック状態で、耳が……、脳が……、これ以上の情報を拒絶するかのように働かなかった。
普段なら困惑はしても荒ぶることはない涼太でさえも、流石に今この状況下では我を忘れている。
当然だ。
涼太、あなたと一緒に料理したりどっちかが熱を出したら看病したりとあなたのこと可愛がってたもんな。
あなたの、意思………
あなたはその決断をした時、どんな気持ちだったんだろう。
どんな表情をしてたんだろう。
自分がこんなことを思うなんて…って我ながら思うけど………
泣いていなかったかな。
苦しんでいなかったかな。
………いや、病気…だもんな。
苦しくないわけ、ないか。
悲しくないわけ、ないよな。
いや、まぁ、こんな事態になってるんだ。
想定内だな。
家から退去するくらいなら、おそらく連絡先も……
………やっぱりな、。
あいつ、やるときは徹底的にやるもんな。
ホント、抜け目ねぇわ………
みんなは強い。
どれだけ荒波が立っても、暴風が身を削っても、ちゃんと立ち上がれる。
昔から、それが羨ましかった。
「俺は強い」って言い聞かせてたけど、やっと今気づかされた。
俺は、自分が思ってたよりもずっと弱かったんだって。
いや、仲間という支柱が揃っていないとダメな奴にまで成り下がってしまうんだって。
現にほら、あなたを失った俺は、こんなにも弱ってしまっている。
俺がボソッと呟いた言葉は、重い空気の中で泡となって消えてしまった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!