第5話

病気
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2025/01/07 09:46 更新
人は、よく物事を忘れる。


勉強したことも、かつて行った場所も、出来事も。


生まれてからのことを全て覚えている人なんて、早々居ない。


少なくとも、私は出会ったことがない。


出会ったとしても、振り付けを覚えるのがめちゃくちゃ早いふっかさんとか、インテリで天才な阿部ちゃんくらいだろうか。


どれだけ記憶力に自信がある人でも、それには限界がある。


とか言う私は、別に記憶力は良い方ではない。


どちらかと言うと悪い方。


道はいつまで経っても覚えないし、昔あった出来事を覚えていない事なんてしょっちゅう。


酷い時だと、ほんの十数分前にしていたことを覚えてないこともあった。


あれは未だに思い出せない。


それほど、私の記憶力は悪い意味でやばかった。


こんなに記憶力が悪いと、いつか本当に大事なことまで忘れてしまわないか心配になる。


これは、ある種の病気なのではないか!?


………と慌てることはない。


なぜなら、もう病気なのはとうの昔に発覚していたから。





『後天性オブリビオン症候群』※実在しません。





中学2年生のとき、医者から言い渡された病名だ。


主にストレスが原因となることが多いらしい病気。


中学2年はもう事務所に居たんだけど、一度この病気のせいで活動休止した。


勿論多方面で色々言われたけれど、こればかりは私でもどうすることも出来なかった。


その時の私の精神状態や体の状態にもよるけど、脳内の記憶を保存する部分がショックを受けて記憶が斑になったり、消えたりする。


これは芸能界で生きていくなら致命的な病気。


時に自分自身この事さえも見失い、仲間の事だって忘れてしまう可能性がある。


自己のアイデンティティーを忘れてしまえば、性格をも変えてしまう。


そんな病気を患ってしまったと聞いたときは、アイドル目指すのを諦めようと思った。


続けても周りに迷惑をかけるだけだと思ったから。


今まで辞めずにやってきたのは、それきり病気がひどく発症することがなかったから。


これならアイドルを目指せると、アイドルになって"好き"を届けることができると安心したから。


そして、その夢にまた縋ることができると思ったから。











でも、やっぱりダメみたいだ。












また、症状が悪化し始めている……


このままでは仕事に支障を与え、最悪みんなのことも…忘れてしまうかもしれない………


もう、潮時なのかもしれないね。










ありがとう、みんな……


そして、




あなた
ごめんなさいッ………

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