≠主任 / 付き合ってない / クラスメイト / nnk only
放課後の教室は、昼間の喧騒が嘘みたいに静かだった。
私は一人で机に突っ伏し、残っていた課題を片付けていた。ノートの上にペンを走らせる音だけが響く。
「……あれ、まだ残ってたんだ?」
声がして振り向くと、教室の後ろのドアにもたれかかるクラスメイトの七基くんがいた。
片手で鞄をぶら下げ、片眉を上げて笑っている。
いつもの調子で飄々としているように見えて、その余裕っぽさはやっぱり大人びて見える。
「七基くんこそ、部活行かないの?」
「俺?今日は部活自体がおやすみで。」
そう私に微笑みながら彼は教室に入ってきて私の隣の机に腰を下ろした。
「で、あなたは真面目に勉強中?」
「うん。課題のね。終わらせないと」
「……偉いね。俺はもうギブアップしたい。」
ふざけた調子で言うのに、私のノートを覗き込む目はちゃんと文字を追っていて、思わず笑ってしまう。
「……七基くん、意外と真面目?」
「ちょ、失礼だなぁ。俺は大人なんで、やるときはやりますって」
軽口を叩きながらも、ペンを持つ私の手元をじっと見つめている七基くん。
その視線に気づいて首を傾げると、彼は小さく息をついた。
「……でも、最近ちょっと無理してたりする?」
「え?」
「ほら、顔に出てる。今も、すごく眠そうな顔してる。クマもできてるし。」
彼の目は真剣だった。
私は返事に詰まり、思わずノートを閉じる。
「……そんなにわかる?」
「………わかるよ…あなたのこと、結構見てるんで」
あまりに自然に言われて、胸が跳ねた。
けれど七基くんは特別なことを言った様子もなく、机の上に頬杖をついてこちらを眺めている。
沈黙を破ったのは、彼の優しい声だった。
「……もししんどいときはさ。俺に頼ってよ。」
「七基くんに?」
「そ。勉強教えるかは分からないけど、付き合って遊ぶくらいなら俺にもできるから。」
軽く笑って見せるけれど、その奥にある優しさがちゃんと伝わる。
私は小さく「ありがとう」と呟いた。
──その後、一緒に下校することになった。
校舎を出ると、夕焼けに染まる道が続いている。
二人で歩く足音だけが響いて、心地よい静けさが流れる。
「……あー、やっぱ外の空気はいいな。あなたとこうして歩くのも悪くないね」
「急に何それ」
「いやいや、照れないでよ。俺が本音言っただから」
どこまで本気で、どこまで冗談なのかわからない。けれど彼の横顔は、赤く染まる空の下でやけに大人びて見えて。胸の奥がじんわりと熱くなるのを、隠すことができなかった。
日が空いちゃったので2話投稿 、折角なので短編書いてみました .
反応と短編どっちの方が好みですか ?












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。