楽屋を出て、走って走って、
気付いたら駅についてて、
後ろから神ちゃんが走ってきてたのが分かってたから、急いで発車間際の電車に乗り込んだ。
とても今、神ちゃんと話せる状態ではない。
ドアが閉まって走り出した電車にホッとしながら、過ぎてゆく駅のホームにあるベンチが映った。
望と、たまに待ち合わせする場所。
望、
望は大丈夫やったんかな。
いや、
もうええんや。
僕はもう、6人とは関係ないねん。
僕はもう、みんなと一緒におったらあかんねん。
7WEST、どうせなくなるって話なんやし、ちょうどええ。
僕は、
みんなに迷惑ばっかりかけて、
余計なことばっかりして、
酷いことをしてしまって、
言わなくてもいいことを言ってしまって、
おまけに余命宣告までされとる病人やし。
ほんま、こんな俺とおるん、そりゃ嫌にもなるよな。
家に帰るまでのいつもの景色が、
今日は滲んでた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!