褒められてるドリームを見る度に、僕の中にあるなにかが崩れていくのと同時に、途方もない飢えが湧き上がった。
どれだけ、どれだけ気付かないふりをしても、その飢えは収まることを知らなかった。
どんどん僕自身がなにかに蝕まれていく。
止まれない、止まりたくない、僕が1番なんだと、弟より出来ない兄なんて居ない。そんな感情だけが、僕を閉じ込めていく。何人もの人に認められたい、僕の中にはこれしか無かった、これだけしかなかった。1人だけじゃ足りない、2人、3人、もっともっとって強請っていく内に、いつの間にか、孤立していた。
誰も僕を認めてはくれない、認めてはくれなかった。誰も見てくれない。何方が優れていようと関係ない、立場がこうなのだから、やむを得ないのだ。
そう、仕方がない、仕方がない。
____仕方がない?
努力してきた何もかも、全部全部、仕方なくで片付けられる訳が無い。でも、どうしようも無いのだ、立場上、僕が認められる事はない。でも、でも、飢えを知った僕の体は止まれない、止まらないんだ。
時間が過ぎてゆくにつれどんどん大きくなっていく。苦しい、苦しかった。誰かに認められないのがこんなにも苦しいのか。
だから僕は、僕が、認められるためには、
ni「こうするしかないんだよ。」
"林檎を食べる"そうでもしないと僕は認められない。この世界じゃ僕は認められない。だから、だから僕は強くなって、違う世界に行って認めてもらうんだよ。僕はやれる、出来る子だ、弟より出来ない兄はいない、本にもそう書いてあった。
目から、背中から、身体中からとてつもない程の痛みを感じる。でもそれは、僕を認めてくれる為の1つの行動に過ぎない。あぁ、街中の皆が僕を見ている、その目には僕しか映っていない。前の僕を見てくれなかったのは悲しいが、いま、この状況に僕は酷く、興奮している。
ni「ねぇ、ドリーム。」
あぁ、ドリーム、最愛の弟。
ni「僕を見て?」
どうかその目で僕を看取ってくれ。
その目に、僕を焼き尽くしてくれ。
ほら、こんなにも強い力の中で僕は自我を保っていられる。凄いだろう、きっとドリームには出来やしないよ。まぁ、兄は弟より優れているからね。
僕はドリームにすら追い付けないぐらい賢くなるよ。その為には時間が必要だ。僕はドリームと違って容量が悪いから、少しの間、僕が賢くなるまで待っててよ。僕のこと忘れちゃダメだよ。僕が、自分に納得出来るようになるまでそこで待ってて。
ni「じゃ、またね、ドリーム。」
そこでずっと、僕のことだけ考えてればいいよ。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。