side真
今日も隣で、及川さんの話し声が聞こえた。
最近、及川さんは上杉さんだけじゃなくて、転校生の白石さんや岸辺さんとも話していた。
僕もあの2人みたいに、初めから仲がいいわけではないけれど話しかけることができたらいいのに。
どうやったら、及川さんともっと話せるのだろう。
いつも彼女と話す時、緊張して話せない自分がいた。
どうしたら、喋るのが得意になるのだろう。
僕は昔から本が好きで、学校にいる間もずっと本を読んでいる。
そのせいでクラスには馴染めないし、話すのも苦手で、及川さんに自分から話しかけることすらできない。
僕が夢中になれるものは、本だけだった。
図書室に寄ると、「好きな人へのアピール方法」という本があった。
こんな本を借りるのは少し恥ずかしい気がしたけど、
自分では方法がわからないから仕方なく借りた。
【好きな人へのアピール方法】
その1、一緒に帰る!
その2、相手の好きなことをしてあげる!
その3、イベントにはしっかり参加する!
これが…アピール方法…?
その1の一緒に帰るぐらいならできそう…
その2は及川さんの好きなものとかわからないから無理そうだ。
【昼休み】
僕が言葉に詰まっていると、上杉さんは何かを察したように表情を変えてきた。
僕が答えると上杉さんは驚いて声を上げた。
上杉さんは自分のことのように声を高くした。
その「恋のおまじない」がどんなものか気になるけど、
僕は及川さんに好きな人がいるってことが意外で不安になった。
【放課後】
声をかけた瞬間、僕は後悔した。
僕と及川さんはほとんど話さないし、全然仲良くない。
そんな僕が急に一緒に帰るように言ってきたらおかしいって。
いつも一緒に帰る上杉さんが急に帰って、及川さんは不思議そうに声を上げた。
だが上杉さんのおかげで、一緒に帰れる状況ができた。
僕はこれをチャンスだと思って、及川さんを誘った。
上杉さんのおかげで僕たちは一緒に帰れることになったけど…
僕たちは共通の話題がなくて、気まずい空気感になっていた。
そういえば、上杉さんに教えてもらった及川さんの好きなものを話せば沈黙じゃなくなるかも。
僕が話そうとした瞬間、後ろから車がすごい音を立てながら猛スピードで走ってくるのが見えた。

僕はとっさに及川さんの手を握って、歩道の方にグッと引き寄せた。
幸い、車はそのまま車道を通っていって、事故にはならなかった。
突然の出来事に、及川さんは驚きながらも僕にお礼を言った。
僕もびっくりしたけど、彼女が危険なのがわかって、すぐに手が出た。
どうしてだろう、少し汗もかいてたし…
体調が悪そうにも見えないけど。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。