ゆっくり歩きながら食堂に行くと、既に半数が揃って席についていた。
ルイーズはまだ来ていないようだ。
私は案内されるがままに椅子に座り、他の人が来るのを待っていた。
右隣にエーミールさん、左隣にチーノさんの席があった。
私より早く来ていたエーミールさんと話してみることにした。
ふわふわとした雰囲気の彼は、優しげな声で返事をした。
本を置いたのを見て、私は言葉を続ける。
彼は紅茶を啜った。
そう言えば彼は、国一番の知識人であると、どこかで聞いたことがある。
そこらの学者さえ凌ぐほど頭が良く、軍でも作戦は彼が中心になって考えるらしい。
そんな彼は、しかし女性を前にすると途端に頭が真っ白になってしまうという。
そういう抜けているところもあって、たまにイキっても憎めないのだ。
…と聞く。
お、このまま自然な流れで彼の過去について聞けたら攻略に役立つぞ。
話してくれなければ、また今度機会を窺って再挑戦すればいいだけだ。
まあ確かに、一目見たときから全体的に色の薄い人だとは思っていた。
色白とかもうそんなレベルじゃなく、瞳すら薄いのだから、普通でないのは事実だ。
そしてエーミールさんは少し黙ったあとに、私の顔を見つめた。
何かまずいことを言ったかと思い一人焦っていると、彼は微笑んだ。
虚をつかれたような気分になった。
同情?
私はどうやら、珍しい人間だと気に入られたようである。
しかしこれは違う、私の配慮不足に過ぎない言葉選びのミスだ。
もっと考えて話していたら、同情して慰め、応援の言葉をかけただろう。
今回は偶然、良い方に転んでなんとかなったから良かったけど。
チヤホヤされることだけを目標にしていて、相手そのものに興味がないから、
同情や共感など、寄り添ったりすることが、やろうとしないとできない。
しようと思えない。
もっと考えて動かないと。
いや、それより今は、
それっぽいことを言って誤魔化すんだ。
私は申し訳なさそうに、俯いた。
よし。
それっぽい考え、かつ申し訳なさもアピールすることで効果は覿面のはず。
不快にさせたなら謝ると言っている相手を、同情しなかったからと責められるほど、
彼も鬼ではないはずだ。
この誤魔化し方だって全員に通じるわけじゃないが、相手を選べば必ず上手くいく。
それから顔を上げて彼の目を見ると、当然のように優しさで満ちていた。
私がしたことは、どうやら彼の中では間違いじゃなかったらしい。
ふと周りを見渡すと、先程までいなかった人も何人か来ていた。
チーノさんが歩いてくるのが見えた。
ふーん。
エーミールさんを完全に取り込むまで、それほど時間はかからなさそうだな。
多分この秘密のおかげで、チーノさんは私を少し警戒しただろうが。
まあそれはいい、時の流れが解決する。
総統が全員揃ったことを確認すると、食事の挨拶をした。
いつの間にか並んでいたご飯も、いい匂いがしてお腹が鳴りそうだ。
ゾムさんが他の人に死ぬほど食べさせていたのは見て見ぬふりをした。
…ん…?いや、待てよ。
エーミールさんとの会話に夢中で、ルイーズ不在に全く気が付かなかった。
来るだろうか。
そのときだった。
扉が開いて、ルイーズが入ってきたのは。
彼女は自らそう言ったくせ、その可愛らしい顔を赤くして俯いてしまった。
幹部たちも顔を赤く染める。
殴り飛ばすぞ。
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※唐突
アンケート
登場人物殴りたくなる?
それなめっちゃ分かる
66%
理解できなくはないが殴ろうとは思わん
26%
いや分からん分からん
9%
投票数: 207票








![[参加型?]空の上で最後の遺言を、](https://novel-img-gcs.prepics-cdn.com/prcmnovel-tokyo-prod-converted-images/p/fLidrLhRSUUik4ZkTr7M83BhU0V2/cover/01KCTXMWS5RZ2WT40YN9XJ0C3Y_resized_240x340.jpg)




編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。