気だるげそうに身体を起こし呟く
いつもより幾分も小さい声
いつもより幾分も抑えられた身のこなし
だが、そんな”天馬司”も
鏡を見た瞬間には、”天馬司”になる。
鏡の前でポーズを決め、
表情を確認し、
支度を済ませる。
スターたる者、遅刻は厳禁。
今日は誰よりも早くに学校に着き、
ただボーッとしながら屋上で空を眺めていた。
ほか生徒たちが来るまで、まだ30分以上はある。
まだあれから1週間にも満たない……
早く練習がしたい…
じゃないと…オレに価値なんて……
ズキンッ
ドサッ
頭が……割れるように痛いッ…
なぜ突然こんな…
その時視界の端で、
何かが強く光ったような気がしたと同時に
オレは意識を手放した。
目を覚ますとそこは暗闇だった…
ただ自分がなにかに座っているという感覚しかない、
浮いているとも思えた。
暗い…
一体どこなんだここは…
パッといきなりスポットライトが着き、
舞台が照らされる
舞台袖から1人の少女がやってきて、
スポットライトの下で止まる。
ガタッ
男の子はショーが大好き
両親と、妹と家族みんなで見に行った、
夢のように素晴らしく、煌びやかで、
どこを見ても皆が笑顔で、
妹も笑顔で。
そんなショーが、男の子は大好きでした。
そして、自分もみんなを笑顔にできる人になりたい
その思いから、男の子はみんなを笑顔にする
“スター”を目指し、日々努力してきました。
ある時、学校へ行くと自分の机に落書きがされていました。
どうして?だれが?なんで?
男の子はそう思いながらも自分で机を綺麗に拭きます。
次の日も、その次の日も、そのまた次も……
日に日にその“落書き”は酷いものに変わっていきます。
そして何日か過ぎた日、クラスメイトに話しかけられました。
「どうして笑わないんだ?」
「どうして何も言わないんだ?」
その言葉に、男の子は絶望しました。
周りを見渡すとクラスメイトたちが笑っています。
男の子も笑いました。
なんで笑っているのかも分からず、
汚い笑顔を浮かべました。
……?何を言っているんだ?
『不思議な空間と語り手と』
完












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。