神の部屋
僕は、後押しが欲しかった。
あなたちゃんは恋愛感情を消すことを嫌がるはずだ。
そしたら
僕は、あなたちゃんに芽生えている殺意をどうやって消そうか。
二人なら乗り越えられる。
殺意なんかよりも僕を好きだという気持ちで埋めてあげるから…
僕は翼をしまって、神々しい光も押さえる。
できるだけ、人間の相川真冬のように。
そしたら、話を聞いてくれるよね。
僕はあなたちゃんの睡魔を取り払う。
あなたちゃんは頷く
あれ、話が噛み合わない。
僕の話を聞いていない…
僕の目を見ない
もう戻らないのか。
いつも通りのあなたちゃんに…
光が差し込んでいないあなたちゃんの目は暗黒よりも黒い。
見つめれば、襲うプレッシャー。
鼓動が早くなる。
どう言ったって平行線
交わることなどない
わかってくれない
僕は、あなたちゃんの両肩を掴むことでしっかりしてと伝える。
あなたちゃんは静かに涙を流す
僕の考えは間違いだった。
僕がしたことは端から間違いだった。
だってさ、好きな人をこんなに悲しませたんだ。
こんなに、苦しめたんだ。
それで正解なんて…正解だったなんて、言えるはずがないよ。
あなたちゃんの言ってることは正しい。
僕は、あなたちゃんの望む通りに…
死神界が望む通りに、願う通りに
僕は
恋愛感情というものを死神から消し去った__。
『神様が戻ってきて、平和な死神界がまた訪れたな!』
『逆に神様がいる今の方がいい世界じゃん』
『まぁ、俺たちを捨てたから恨んでいたのは真実だけどさ、死神界の危機になったら助けに来てくれたからさ』
『もう赦したよな』
『結局は俺らのことをちゃんと覚えていたんだ』
『ラストナイトメアの件も自らの間違いを認めたし』
『しかも、ラストナイトメア生かすってとこがお優しいよな』
『そんな死神は普通、処分だろうけどな』
『その選択をしなかった我らの母はやっぱり』
『敬服する』
僕は、人間死亡リストを宵色に渡す。
僕は、僕の部屋に戻る
神の部屋
あなたは僕の部屋で暮らしている。
死神界には、まだ恐がっている死神が多数いる。
その中で、この子を放せばきっと良い結果が生まれない。
だから、僕はこの子をそばに置いた。
…というのは、建前上のこと。
あなたちゃんに恋愛感情がなくなっても
僕があなたちゃんを想う気持ちはなくならない。
好きだから、そばにいたい。
僕は、愛する死神を呼ぶ
あなたちゃんはベッドに座る僕の横に座る。
僕はあなたちゃんの頭を優しく撫でる
僕は、僕の涙を拭おうとするあなたちゃんの手を避けて、涙を焦って隠す
そう呟くほどに溢れてくる水。
しょっぱさが口に広がる、
“好きと言って好きと返ってくるなんて素敵でしょう”
それは、人間が恋してる瞬間を見て思った僕の感想だった。
恋愛感情なんて本当は知らなかった。
あなたちゃんに会うまで…。
僕が人間になってあなたちゃんと出会うまで知らなかったんだ。
そして
知ってしまった
“恋愛”
知ってしまった
“一人の生命を愛することを。”
知ってしまった
“好きと言って好きと返ってこない悲しさを”
その感情には恋愛感情なんてものはない
僕の気持ちは一人きり。
この世界で不幸だと思うのは僕一人__。
ーBAD ENDー











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。