第10話

4話(吹き出し版)
135
2022/08/06 09:54 更新
ガイア
そういえば、旦那は想い人とかいるのか?
なんて事を口走った。
ディルック
居ないことはないが…君には関係の無い話だろう。
といつもの仏頂面を一切崩さず言い切ったディルックを見て、
ガイア
そうか、お前にもそんな人がいたなんてな。完璧な貴公子殿に好かれる女性は幸せ者じゃあないか。
といつもの軽薄な笑みを浮かべて返す。
胸を刺すチクリとした痛みには気づかないふりをした。
裏切り者にあいつの恋が叶いませんようにと願う資格なんてありはしないのだから。
酒場を出て上を見上げると雲ひとつない青空が広がっている。
ガイア(記憶)
ねえ、義兄さんに好きな人っているの?
ディルック(記憶)
えっとね、今はまだ好きな女の子はいないかな?
ガイアの事が1番好き!
ガイア(記憶)
えへへ、ありがとう!嬉しいな!
俺も義兄さんのことが大好きだよ!
ふいにあの日々の事を思い出す。
もう戻れないと分かっているのに、壊したのは自分だと分かっているのに。あんなことを聞いてしまったのも、きっとこの青空のせいだろう。

それでも、この記憶に縋りたかった。

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