突然窓から学園長が飛び込んできた。
ワチャワチャしてよく分からなくなってしまったけど、学園長に私のさっきの魔法についての説明をしてもらうことになった。
聞けば、魔法は大きくわけて主に3つに分類されるらしい。魔法、祝福、そして呪い。魔法は使える人は使える、簡易的なものや強力なもの、様々なものがある初歩的なもの。祝福は妖精などから送られる幸運や幸福をもたらすギフトのようなもの。その反対に呪いは、人または霊が、物理的手段によらず精神的あるいは霊的な手段で、他の人や社会全般に対し災厄や不幸をもたらすとされているものらしい。
仮面でよく見えない目元が真剣な眼差しで私を見ている。
一瞬何を言われているのか分からなかった。
せっかく習得できたユニーク魔法が、使ってしまうと死んでしまうリスクがある。
そう聞いて私はとてもショックだった。
学園長は私のブレザーの胸ポケットに入っていたマジカルペンの魔法石の部分を指さした。
私はほっとして胸を撫で下ろす。
あんなに頑張ったのに死んじゃいました、なんて後味悪すぎる。
少し話したら学園長は今日の仕事に戻ると医務室を後にした。
3人各寮に戻ることにした。
「途中でまたぶっ倒れられてても困るし?」と言ってエースは私とグリムをオンボロ寮まで送ってくれた。
シャワーを浴びながら昨日のことを思い出す。大変だったなーとかあの時の先輩かっこよかったなとか考えてたら、自分が倒れた後見た夢のことが気になった。
懐かしいあの夢。無意識にあの歌を鼻歌で歌ってしまった。
―オンボロ寮近辺―
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その後普通に登校し、私は授業を受けている。今日は飛行術の練習だ。放棄に乗ったことの無い連中30人弱をバルガス先生一人で見るのはキツイので3年生との合同授業だ。
さすがは男子校。ほとんどの人が3年ほど女子と関わってないので、接し方が分からないのか見事に最後の方まで残った。
急に話しかけられて振り返ると耳の生えた獣人族の先輩が話しかけてくれた。
お互い自己紹介をしあう。
この人、どっかで見たことある気がする……。でも思い出せないや。
各自、自分のペアと協力しながら取り組んでいる。どの先輩も優しく丁寧に教えている。レオナ先輩もそうだ。次々と周りの1年生は箒で空を飛んでいく。
分かりやすく教えてくれているのになかなかできない。16年間この世界で暮らしているとはいえ、16年は魔法のない世界で暮らしていた。箒で飛ぶなんてそう具体的に想像もできない。
私の魔力量は1年生の中でも平均なはずだ。だからあのユニーク魔法も使いこなせない。相当な魔力量とは……?
私には相当な魔力がある。そう言われたら少し自信がついた。
私は具体的に想像した。箒の穂先が風でなびく様子、空を飛んで風と一体になる自分、空からの景色。
私は、飛べるっ!
足にかかる重みが減ったことに気づいて目を開けると、私は2mほどだが、確かに飛んでいた。
私はそう言われて気づく。確かに、私は自分が飛んでる様子をイメージできていないだけでなく、心のどこかで「私にはできないのでは」と思っていたのかもしれない。
聞こうか迷ったが、先輩の優しさを私は黙って受け取ることにした。怖い見た目に反してすごく優しい先輩だな。
授業が終わった。私は改めて先輩のいる方へ走ってお礼を言いに行った。
なんだ?とだるそうにこちらの方を見たあと先輩はまた前を向いて歩きながら言った。
私は最初何を言っているか分からなかったが、すぐに思い出した。
思い出した、あの時グリムの拾い食いを止めてくれた先輩だ。
私は精一杯返事をした。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!