入学して数週間、私たち1年生は部活動見学というものが始まっている。
昼休み私とグリム、エース、デュースで同じテーブルを囲んで昼食をとっている。各々学食のメニューから好きなものを選び食べていた。
2人は興味のある部活に見学にひと通り行き、既に入部届を出し終えている。私が未だに部活動が決まらないのは、男子校故に女の私とは体力差がありすぎて運動部はマネージャーになってしまうからだ。
ナイトレイブンカレッジには文化部と一括りにしても、同好会などもあり勉学だけでなく、とても部活動も盛んに行われている。
警察官の父に幼い頃から鍛えられていたおかげで、運動神経はそれなりに身についている。だが、正直私はインドア派なので運動部は正直もういいかなと思っている。
私の両親の娘への溺愛っぷりはなかなかで、私が少し興味を持ったらなんでも習い事をやらせてはくれたが、どれもいまいち長続きはしなかった。長い間やっていたのはダンスと柔道と空手で、ダンスは7年柔道と空手は13年やっていた。
ダンスは個人的に結構すきだったからやっていたけど、武道系のものはほぼ護身術として父親に半ば強制的にやらされていた。私自身別に嫌ではなかったから不満にも感じなかった。
エースにああは言われたけど、何となく今日も見学することにした。今日は同好会のひとつ「映画研究会」の見学をさせてもらう。ちなみにグリムは興味無いと言って寮で昼寝をしているので私一人だ。
恐る恐るドアを開けて中に入る。途端、背筋が凍った。
文化部で、しかも映画研究会と言うからもう少し穏やかな雰囲気を想像していたのだが、部室内にいたのはガタイのいい連中ばかりだった。
ガタイのいい連中に囲まれて何を話せばいいのかわからなくなってしまい私はフリーズしてしまった。
私の背後から声がし、振り返るととんでもない美形が立っていた。
私の実家は輝石の国にあって、ヴィー君こと大人気モデル、ヴィル・シェーンハイトとは昔、たまに遊んで貰っていた。
昔ヴィー君のお父さんにヴィー君たちの撮影現場に連れて行ってもらった時にネージュと話して、それから何度か3人で遊んだこともあった。私のヴィー君呼びはネージュのがうつったことがきっかけだ。
言えない、寝てたなんてとても言えない。絶対「だらしない」って怒られる。
そうしてヴィー君に見学のことを伝えて見学の許可を貰い、付きっきりで説明してもらった。
映画研究会は映画鑑賞の他に、映画の作成もしているらしい。俳優志望の部員と裏方担当の部員で分かれている。でも映画研究会のほとんどは俳優志望で裏方担当は常に募集中らしい。部員でなくても筋力のあるサバナクロー寮の寮生に報酬と引き換えに助っ人を頼むこともあるらしい。
どうやら今日は丁度映画作成の日らしく、その様子を見学させてもらえた。素人とはいえ、俳優志望でこの同好会に入っているだけあってとても本格的だ。まぁあのヴィルシェーンハイトが会長を務める同好会。絶対手を抜くとは思えない。
すごくメカメカしい子が走っt…飛んd…急いでこちら側へ向かってくるのが遠くの方から見えた。
急に正面から飛び出して来たオルトに驚いて尻もちをついてしまった。
なるほど、と理解するとオルトもヴィー君と一緒に部活動の説明をしてくれた。
説明以外にも機材を実際に触らさせて貰ったり、俳優さんたちの台本を見せて貰ったり、ヴィー君(監督)が指導している姿の見学など、いろいろ見させてもらいあっという間に部活動の時間が終わってしまった。
ヴィー君が各担当に指示を出すとみんなテキパキと行動に取り掛かる。相変わらずかっこいいな。
入部、どうしようかな。すごく楽しかったし皆の活動もすごく本格的で昔ヴィー君たちの撮影現場に行った日を思い出した。
まだ入部を決めてる訳じゃないからそんなに真剣に考えなくてもいいのかもしれないけど、私は即答できなかった。
機材、動画編集、衣装、脚本・シナリオ、大道具小道具、そして役者。たくさん役割もあってどれもやりごたえがありそうなものばかりだった。
私が悩んでいるとミーティングを終えたヴィー君がこちらに向かってきた。
そう、私はさっきの見学の時に動画編集をしている姿も見させてもらっていた。カメラアングルや効果に悩んでいて、ヴィー君たちにアドバイスを求めていた。その時に私がでしゃばってアドバイスをしたのだか、私の出した案があのヴィルシェーンハイトのお気に召したようだ。
その後「入部を検討してくれると嬉しい」と言われ、今日は解散になった。
オンボロ寮に帰ってからも映画研究会のことをずっと考えていた。
今日映画が完成していく姿を見て、とても感動した。1から何かを作り上げるってすごいな、なんて小学生のような感想だけど心からそう思った。
私はヴィー君に褒められたことを思い出す。衣装係でミドルスクールでの活動が役立つならぜひやってみたい。カメラマン・動画編集も私自身カメラで何かを撮影して、目に映る情報からいろいろなことを読み取れるよう工夫をする仕事にはとても興味があった。でも私はカメラを使う技術も超がつくほどの素人だ。ちゃんとした撮影の経験もない私にちゃんとつとまるのだろうか…。
経験がないなら、経験値を稼げばいいんじゃない!
―翌日 登校時―
〜メインストリート〜
校舎に向かう途中でエースとデュースとばったり会った。そのまま何となく一緒に校舎に向かうことになった。
私は少しニヤリとイタズラっ子のような笑みを浮かべながら言った。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。