第5話

運命の出会い
29
2022/04/12 04:17
久瀬 真也side
五月女 竜
はぁあ!?会社に入社させる!?
リビングで酒を片手に大声を上げる幼なじみで
同居人の五月女 竜

俺は今、分け合ってこいつを養っている
久瀬 真也
大声出すな
ジュンも驚いてるだろ
ジュン
クゥン
五月女 竜
あぁ、ごめんよジュン〜(ぎゅっ
久瀬 真也
で、反対なのか?
五月女 竜
そりゃそうだ
事務仕事なんて、まだまだ女社会だ
あなたの下の名前ちゃんはまだ
16歳とかの嬢ちゃん何だぜ?
見た目は成人女性だし
女のイビリに合うことになるって絶対
久瀬 真也
何でだ?
新人イビリなら俺が言って……
五月女 竜
はぁ、お前なんで分かんねぇかな
女遊びして何を学んだんだよ
久瀬 真也
どういう事だ?
五月女 竜
お前は次期社長になる
イケメンエリート。歳も若い
しかも女抱いては捨てて
それでもお前は女性からは
憧れの的だ
お前と結婚したい女はごまんといる
そんな中にお前のお気に入りなんて
放り込んでみろ?
直ぐに食われて身を滅ぼすぞ
あの子が
久瀬 真也
……なるほど
そこまで考えてなかった
五月女 竜
彼女が婚約者だと言うなら
また変わってくるだろうが……
好きだってのは
墓まで持っていくつもりなんだろ?
久瀬 真也
…彼女は自由を求めているからな
働きながらにはなるが
高校生らしい事をさせてやりたい
五月女 竜
…にしても、お前も変な趣味してるよな
事故った相手の血塗れ姿に一目惚れとか
普通ないぜ?
久瀬 真也
私も驚いている
だが、本当に綺麗だったんだ
あの日、新人社員としてバタバタ働いていた私は
急ぎ営業所へ向かっていた


その途中で起きた事故があなたの下の名前との衝突事故

赤信号にも関わらず彼女は走って飛出てきのだ
慌ててブレーキを踏んだが既に遅かった


そして血を流し倒れる彼女に私は駆け寄り


彼女を見た私は時間が止まったような気がした



白く綺麗な肌が赤い血に染まり
虚ろな目で空を見上げている

まだ中学生だろうか?
あまりにも綺麗な顔立ちに
映画のワンシーンかと思うほどだった
あの日以来、私は彼女の虜となっていた

妹と重ねた事は無かった
妹とは違う

もっと別の何かが私の中に生まれた
久瀬 真也
まぁ好きになった理由なんて言えないし
加害者と被害者の関係に留めた方が
彼女も私も楽だろうな
五月女 竜
だからずっと名前呼ばなかったのか?
久瀬 真也
……今日、呼んだ
五月女 竜
お、進展あり?
久瀬 真也
…告られたと思った……
まぁ、私の顔が好きだっただけなのだが
我慢出来なくて…恥ずかしいこと言った
五月女 竜
お?何言った?お?
久瀬 真也
言えるかよっ//
五月女 竜
真也、照れてる〜笑
久瀬 真也
うるさいなっ、放っといてくれ//
五月女 竜
退院祝い渡せずに帰ってきたヘタレを
放っといたらいつまで経っても
発展しないって笑
久瀬 真也
な、なんでその事をっ
五月女 竜
帰ってきた時、ソワソワしてたろw
久瀬 真也
……次会う時に渡す
五月女 竜
そうしな笑
気を紛らわすため
珈琲を入れようと席を立つと家の呼び鈴が鳴る
五月女 竜
あ、俺出るよ
久瀬 真也
さんきゅ
珈琲を入れ退院祝いの渡すタイミングを考えていると
玄関の方からワチャワチャと
元気な話し声が聞こえてく部屋へと入ってくる
あなた
わぁ凄いっ……!!
お邪魔します
五月女 竜
どぞどぞー♪
久瀬 真也
あなたの下の名前!?
あなた
あ、やっほ♪
退院した帰りに
お礼言いたいってお母さんが
……まさか昨日の今日で会いに来るとは
久瀬 真也
お母さん、お礼なんて良かったのに
今お茶入れますね
あ、お気遣いなく♪
にしても凄いお家ね
立派だわ
久瀬 真也
いえ(苦笑
あなた
真也!
このソファゴロンしてみていい!?
こら、はしたないわよ
久瀬 真也
ふっ、良いぞ
好きにしてろ
あなた
やった〜♪
おおおっ、何かすごーぃ!!
五月女 竜
無邪気だねぇ笑
すみません汗
久瀬 真也
いえ、久しぶりの外なんです
楽しい方がいいですから
お茶を置くと彼女の母はお辞儀する
あの、これほんの気持ちですが……
そう言って差し出されたのはゼリーだった
久瀬 真也
受け取れません
元はと言えばこちら側の責任です
そんな、こちら側の責任です
あの子が信号をきちんと見なかったから
ほら、あなたの下の名前!
こっちに来て謝罪とお礼しなさい
あなた
あ、うん

…ごめんなさい
私ずっと真也に甘えてた
私は悪くないって全部アンタのせいだ
って……お母さんから話聞いても
やっぱり悔しくて
でもアンタは
いつも真剣に向き合って……
だから新しい人生始まる前に
ちゃんと謝れってお母さんが
こら、あなたの下の名前!
五月女 竜
素直な子だねぇ笑
久瀬 真也
ふふっ、謝ることは無いですよ
ですが…ここまで色々して貰って
久瀬 真也
では、投資だと考えて下さい
私はあなたの下の名前さんを気に入っています
これからの人生を私が見て見たいのです
その投資だと考えて下されば
問題は無いでしょう
は、はぁ……
久瀬 真也
それに後遺症の事は私も
医師から聞いております

反射神経の衰え、躓きやすく
物も落としやすいのでしょう
目眩と頭痛持ちにもなってしまった

内容を知っている人が居る会社の方が
彼女にとっても働きやすいかと
あなた
……真也って変だよね
久瀬 真也
そうか?
あなた
うん
頭おかしい
こら!!
あなた
だってお母さんそうじゃない!?
事故は私が悪いんでしょ?
なのにココまでしてくれて
投資と思えとか
絶対裏ありそうじゃん!
無いならやっぱり変だよ
久瀬 真也
裏……ねぇ
私が君を気に入った理由聞いたら
もっと変だと言われるかもしれないね笑
五月女 竜
wwwwww
お母さん、あなたの下の名前ちゃんは
何も間違ってないので大丈夫っすよ笑
ですが……
久瀬 真也
そうだ、これ
あなたの下の名前に退院のお祝い
あなた
え、嬉しい!
開けてもいい?
久瀬 真也
あぁ
あなた
可愛い!
ネックレスと文房具セットだ!
久瀬 真也
これから社会人になるからな
大人っぽいのもあって良いだろ
あなた
うん!買わないとって思ってたの
ありがとう!!
こんなものまでっ、
本当に何から何まで
ありがとうございますっ
あなた
あ、真也
久瀬 真也
ん?
あなた
明日って時間ある?
久瀬 真也
明日?そーだな
午後からならいつでも大丈夫だ
あなた
なら、買い物付き合って!
お母さんと行く予定だったんだけど
お母さん仕事入っちゃって

私一人じゃ
会社着ていく服とかスーツとか
どんなのいいか分かんないし
またあなたの下の名前は……
久瀬さんだってお忙しいのよ?
ご迷惑おかけしないの
久瀬 真也
いえ、構いません
午後は丸々空いていますし
1人でそう言ったものを買うのも
初めてでは不安でしょう
五月女 竜
なら俺もついてこうかな♪
あなた
竜ちゃん外出て干からびない?
五月女 竜
余裕w
久瀬 真也
余裕なら働けニート
五月女 竜
毎日は嫌♪
あなた
相変わらずのダメ人間www
その後、少し世間話をして
彼女らは帰って行った


退院したら会う回数も少し減ると思っていたが
どうやら毎日会う事に慣れ過ぎてしまったらしい


明日も会える

それだけで嬉しかった

明後日も明明後日も
君に会えるだろうか?

白く綺麗な君の無邪気な笑顔を

毎日見ていたい…

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