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第24話

無自覚の触れ合い
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2025/10/09 05:58 更新
クロスギルドの休憩所。
昼下がりの静かな空気の中、セレンは分厚い本をめくりながら、ふと口を開いた。


セレン
セレン
……人は皆、一度は内臓に触れているって知っていましたか?


唐突な言葉に、バギーは動きを止める。
目を剥き、ぎこちなくセレンの方を向いた。


バギー
バギー
……は?なんだって?

セレンは本から目を離さず、無表情のまま続ける。

セレン
セレン
人間は、老若男女を問わず、一度は触れてしまうんです。海賊も海軍も、一般人も……。バギーさんも触ってますよ。絶対に
バギー
バギー
お、おい……待て……

バギーの顔色がわずかに青ざめていく。
バギー
バギー
い、いま“触れる”って……。まさか……他人のじゃなく、自分の……?


こくり、とセレンが小さく頷いた。

セレン
セレン
はい。自分の、です。生きている限り、普段から触れてしまっている――ある内臓
バギー
バギー
や、やめろやめろやめろ……!
バギーは両耳を押さえるように頭を振る。







セレンの声は静かに落ちた。


セレン
セレン
その名は……“唇”。
バギー
バギー
…………は?
セレン
セレン
唇は消化器の一部。つまり内蔵だったんです
バギー
バギー
マジかよ!?


セレンは表情ひとつ変えず、淡々と頷く。

セレン
セレン
粘膜です。内臓です。つまり――人はみんな、内臓とキスをしているんですよ。
バギー
バギー
ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?!?!?テメェ!!よくも末恐ろしい知識を俺様に教えがやがったな!?
セレン
セレン
別にバギーさんは内蔵の触れ合いをする相手すらいないんですから言っても問題ないでしょう?
バギー
バギー
ぶっ飛ばすぞテメェ!!

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