第13話

ー言葉にしないと伝わらないー
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2023/10/09 15:13 更新
ー大橋sideー



やってしまったと思った。


ほんまは言い合いなんてしたくなかったのに…。





丈くんに「頭冷やそ」って言われて
その通りやと思った。



丈くんから離れて1人なった俺は
控え室に戻った。



控え室では恭平がゲームしてたから
俺はイヤンホをつけて音楽を聞くことにした。



恭平はこう言う時、空気を読んでほっといてくれるから
ほんまに助かるんよね。









それにしても俺…

丈くんのことになると
なんでいつもムキになってしまうんやろ。




しかもあんな…丈くん試すようなこと言おうとした自分が恥ずかしい…。



’ほんまに丈くんって俺のこと…’



そこまで言ってやばいと思った。



俺今、何言おうとした?



絶対、「ほんまに俺のこと好きなん?」って
言おうとしたよな…?





そんなん…

俺が相手の立場やったら絶対言われたくない言葉や…。




だってそれって、相手に信用されてないってことやろ?



俺、ちゃんと分かってるもん。


丈くんが俺のこと好きでいてくれてること。



でも…丈くんはめったに言葉にしやんし
何考えてるか分からん時があるから時々不安になってしまう…。



ほんまはちゃんと分かってるねんけどな…。





そんなことを考えてたらなんか分からんけど急に涙が出てきた。




あかん…。

恭平もいてるから泣いたらあかん…!


そう思うのに全然涙止まりそうにないな、、、。


…もうここは動画を見て感動してる風に見せよう。

そう思って適当につけた動画をただただ眺めながら泣くことにした。





そしたらなぜか突然立ち上がった恭平

恭平は特に俺に声をかけるわけでもなく、ドアを開けて出て行った。





あれ…


もしかして、気遣わせたかな…





でも今はその気遣いに素直に甘えさしてもらお。









それからしばらくしたら、少しずつ涙も落ち着いてきた。


少し涙を拭った後、何気なくつけた動画に目をやると可愛い犬の映像が映ってた。





大橋「ふふ(笑)」





そしたらなんかその子らが可愛くて自然に笑いが溢れてしまった。




こんな時やし、ちょっとこの子らに癒してもらおかな。










そして、気持ちを切り替えて動画を廻始めようと思ったその時。





急に俺の前に人影ができて、耳につけていたイヤホンを外された。




え…なんで…?




顔を上げてそこにいてた人を見て、急に鼓動が早くなるのがわかる。







大橋「えっ…丈く…」

藤原「…大橋、好きやで」









そして驚く間もなく、その人…丈くんの唇が触れた。





数秒触れ合っていた唇が離れると
今度は丈くんの腕の中にいてた。







え…まって。



これ、どういう状況…?



なんで丈くんが…ここにいてんの…?












大橋「ちょ、丈くん」

藤原「ごめん。俺…大橋のこと、ずっと不安にさせてたやろ?」

大橋「え…丈くんどうしたん…?」

藤原「俺…自分が思ってるより…大橋のこと…好きみたいで…」

大橋「ちょ、ちょ、ちょ!丈くんって!待って!俺、状況の整理できてないっ…!」

藤原「ごめん。勝手やけど…一回俺の話…聞いて?整理できてなくていいから…」

大橋「っ…わかり、ました…」











なぁ、なんなん?


丈くん…なんで急にそんな優しい声で喋んの?



そんな声で言われたら、言葉なんてなくても
丈くんの気持ち…十分伝わってくるで…?




せっかく涙引っ込んだのに…

また出てきそうなるやん…。








俺は涙が出やんように丈くんの背中に手を回して
ぎゅっと丈くんの服を握った。














藤原「っ…俺さ…大橋がいてたら自分の気持ちコントロールできひんねん。…’あ、大橋また可愛い顔で笑ってんな’とか、’美味そうに飯食ってんな’とか、今までも思ってたことやのに、そこに他のやつにそんな大橋の顔見られたくないとか思ってる自分がいてて…」

大橋「…うん」

藤原「でも、そんなん俺の勝手な気持ちやから大橋に押し付けたくないし、こんな気持ちバレたくないし…。だから…大橋と会ってもどんな顔していいか分からんくて…避けてた…ごめん。そのくせ、みっちーに抱きつく大橋見て嫉妬とかしてさ…。俺、ほんま勝手よな…」











丈くんはそう言うと少し乾いたような笑いをこぼした。


顔は見えてないけど、どんな表情してるかなんて声でわかる。




丈くん…いっぱい自分の中で葛藤してたのに


俺…自分のことばっかりやった…。


丈くんの気持ちなんて全然考えられてなかった。













大橋「…ありがとう、ちゃんと伝えてくれて」

藤原「…ううん。今まで…不安な思いさせてごめん…」

大橋「なんでよ。俺、ちゃんと丈くんが好きでいてくれてることわかってたで?…それやのに、俺が欲張ってただけやねん…」

藤原「欲張ってた…?」

大橋「そう。欲張ってた。言葉なんてなくても十分わかってんのに、ちゃんと伝えてほしい…とか。それって俺の欲張りやと思う」

藤原「っ…違うやろ…それ」

大橋「え…?」

藤原「言葉で伝えてほしいって…当たり前のことやし…言葉で言わな伝わらんのは当然なんやから…」

大橋「丈くん…」

藤原「だから俺…これからは頑張って伝えるから…」

大橋「ふっ(笑)うん。期待してます」

藤原「任せとけや。本気の丈一郎見とけよ?」










丈くんは最後照れ隠しなんか、
いつものおふざけな感じでそう言った。




でも、それでもいい。


こうして丈くんと気持ち伝え合えたんやから。








そして、ゆっくり体を離して丈くんを見つめると


同じように丈くんも見つめてくれる。









…きっと、今思ってることは同じ。










そしてゆっくりと丈くんに近付いて






唇を重ねようとした瞬間、









ガチャッ









高橋「えっ…えーっと…失礼しましたー…」






ガチャッ








突然ドアが開いて恭平が入ってきたと思ったら
一瞬驚いた顔をしたあと、すぐにポーカーフェイスに戻ってまたドアを閉めて出て行った。



















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