そう言って入って来たのは、さらさらの黒髪が肩辺りまで垂れた人だった。
此の人…は、誰なんだろう。
今日の家庭教師さん…?
でも、是迄家庭教師の人が寝室まで入って来た事は無いし……
此の人について行ったら何か判るかも知れない。
もしかしたら、施設が模様替えしただけかも。
そう云う事があった事は無いけど、模様替えをする
処もあると、本で読んだことがある。
私は、其の人に連れられて部屋を出た。
部屋を出ると其処は廊下で、シンプルだけどお洒落な照明で照らされている。
周りを見ながら歩いていると、黒髪の人はドアを開けて中の部屋に入って行った。
私は後を追い、其の部屋に入った。
其の部屋にあったのはテーブルだった。
側に椅子が五つあり、其内二つにはもう人が座っていた。
椅子に座っている一人が言った。
多分、黒髪の人に向けて。此の人は髪が白くて、目に垂直に黒い線が入っている。
あと、何か、仮面…?を付けている。
……
此の声、意識を手放す前に聞こえた声と同じ…?
椅子に座っているもう一人、髪の右側が紫で、左側が白の人が言ってくれた。
取り敢えず其の人が勧めてくれた席に座る。
テーブルの上のお皿に載せられていたのは、ほかほかと湯気を立てている、パン…?だった。
パンは、所々黄色いふわふわしたもので覆われている。
卵…かな?
施設では、こんなもの出たこと無かった。
私が其れを見つめていると、
白髪の人に話しかけられた。
見ると、私以外の人は、もう食べ始めていた。
でも、知らない人に出されたものを食べるって、
どう…なのだろう。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!