第16話

拾参
145
2026/01/11 21:00 更新
如月ゆうside
新たな夏のノミニーが生まれたとき直感した
如月ゆう
如月ゆう
(嗚呼、この子は"夏"だ)
強い生命力に溢れた光
初兎くんが出す、強いながらも柔らかな光とは違う
力強く、攻撃的にすら見える光
その光の先にいた存在

思わず見惚れてしまう
夏という存在感を放ちながらも
冬と錯覚しそうになる姿
いふ
いふ
なんや、これ…
いふくんの声に振り返ると
そこにいたのはたくさんの動物たちがいた

きっと、新たな"夏"を歓迎しにきたのだろう
如月ゆう
如月ゆう
(生命使役だっけ…)
確か、それが夏の神様の能力だったはずだ

生物の使役、意思疎通に長けた能力

生き物は本能的に従う。夏の神に
如月ゆう
如月ゆう
……
ここは夏の里
当代の夏の神が自らの里で起こったこの異変に
気づかないはずがない
いや、すでに目をつけられていてもおかしくはない
自分たちの時とは明らかに違う異変

本来なら持って生まれるはずだった
記憶を持たず目を覚ました自分よりも
神の異能を授かってしまった僕たちよりも
ずっとずっと異質だった
早くこの里を離れたほうがいいかもしれない
ここには夏の神がいる
ゆうすけ
ゆうすけ
はよ帰るぞ
アニキも同じことを考えていたらしい
僕らはすぐに里を出た
こったろside
"夏"が訪れた

そう感じるほどの力だった

周囲の動物たちは王に従うように集まって来た
こったろ
こったろ
(これはきっと異能だろうな)
異能を手に入れるのは3ヶ月後
それはわかっているが直感的にそう思った
夏の異能"生命使役"
それが作用しているとしか考えられない

代々、神の異能を受け継いだときに
その異能が本人の意思とは関係なく周囲に影響を齎すもたら
ことがあると聞いた
俺やゆうくんが異能を手に入れたときは
そんなことなかったから大きな問題にはならなかった
でも、これは明らかに異能を受け継いだ時の現象だ
そして、神の異能がこの世に二つと存在することはない
つまり、
    "当代の神から異能が消えた"
可能性がある

俺たちの時にこの現象が起きなかった理由はわからない
だが神の異能が消えたなんていうのは聞いたことがない
つまり、受け継いだのではなく単に"授かった"

だがこの子にその現象が起こったということは
授かったのではなく"受け継いだ"
そう考えられる
こったろ
こったろ
(これは大変なことになるかも…)
ゆうすけ
ゆうすけ
早よ帰るぞ
アニキの言葉にはっとした
そうだ、今はここから離れることが最優先

俺たちは逃げるようにその場を後にした

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