鬼蝶side
光の先は、妖達の住む世界、隠世。
そして、眼下に広がる大きな都は、私達『夜桜蝶鬼』の住む都、『夜桜ノ都』です。
実は、私は今、この都を治めています。
理由として、私の右眼に、蝶の烙印が刻まれているからです。
この都では、瞳に蝶の烙印が刻まれている者が、都を治める権利を持っているのです。
泉の中央から、男性と女性が現れました。
白蛇様に云われ、私は赤蛇の魂塊を、泉に沈めました。
透き通った泉に、きらきらと光乍、魂塊が落ちていきました。
白蛇様はそう云って、泉の中央を示しました。
泉の中央では、光の帯が、人の形を創り上げていました。
やがて、其の光が消え、赤蛇が現れました。
赤蛇は、あの禍々しい半人半蛇の姿ではなく、頬の模様も消え、普通の人の姿になっていました。
眷属の契りを結ぶには、眷属になる妖に、主となる者が真名を与えなければならないのです。
こうして、私には眷属ができました。
少し前迄、私の躯を乗っ取ろうとしていた悪妖が、眷属になるなんて……。
其れから少しの間、私達は夜桜ノ都を見物していました_____。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。