__爆豪side
あの白髪女が転校してきた翌日。
アイツは朝学校にいなかった。
昨日、俺が強いかどうか聞いたときも。
曖昧な答えしかしねぇし。
それに何より…。
昨日、アイツが教室に入ってきた瞬間、
だと思っちまった。
腰まで伸びているであろう、絹のような白髪を一つに縛り。
前髪は少し長めだ、というのとサングラスで神秘的な雰囲気を醸し出し。
170は超えているであろう長身で他を圧倒し。
両耳には青色に光るピアスと、首にはターコイズに光るネックレス。
右手首にはブレスレットが、右手薬指にはリングが光っていた。
質問に答えるときにも決して笑顔を絶やさないお前に、俺は…。
惚れてしまったのかも知れない。
そういえば、私が任務に行ってる間に、学級委員が決まったらしいね。
まぁ、私には関係のないことだ。
…にしても。
授業は暇だねぇ。
何もやることがないや。
不意に、轟と目があった。
途端に、思い出したくもない記憶がフラッシュバックする。
…ここにいてはダメだ。
きっと壊れてしまう。
私はそう言って保健室へと向かった。
力なく扉を開けると、そこにはリカバリーガールの姿はなくて。
ベッドが空いていたからそこにお邪魔した。
過呼吸だ。
うまく息ができない。
どうしよう。
私、どうすればいい…?
苦しさで頭が働かない。
そんな時。
分かる。
私の兄、五条悟だ。
小さく頷いてみせると、悟は私を優しく抱きしめた。
それを繰り返していると、幾分か呼吸は楽になった。
少し低くなった声で問いかける悟。
多分、悟が言うアイツっていうのは、轟のことだよね。
そう思った私は、悟に何があったのかを話した。
悟side
正直、怒りが収まらなかった。
あなたの双子の弟、轟焦凍に対して。
そろそろあなたの薬が切れる頃だろうからと思って、僕は雄英を訪ねていた。
勢いよく扉を開けるも、そこに愛しの妹の姿はない。
微かに彼女の呪力は残ってる。
…祓いに行ったか?
いや、緊急の呪霊はいなかったし任務もなかったはず。
…まさか。
僕があなたを探しているというのを忘れたのか。
授業中だと言うのに、A組は僕の周りに集合した。
少し声を低くしながら、生徒の奥にいる相澤くんを睨む。
あぁ、嫌な予感が当たってしまったのかも知れない。
…あーほんっとムカつく。
昨日の戦闘訓練の話、恵から聞いてたけどさ。
エンデヴァーにそっくりの目だね。
俺の言葉に、彼は心底驚いた顔を見せた。
気づいてないんだ、あの子が彼の姉であることに。
かつての口調で、A組全体を睨みながら警告する。
さて…保健室に向かわないとな。
そう思って教室を出たら、何者かに手を掴まれた。
俺はそれだけ言って、未だに手首を掴んでいるやつの腕を振り払った。
そして瞬間移動をして保健室に向かった。
そこで見たのは…
過呼吸で苦しむあなたの姿だった。
俺が、もう少し早く来てれば。
いや違う、この任務を拒否していれば。
なぁ、あなた。
東京校と京都校。
一個だけ共通する考えがあるんだよ。
それは、この世の何よりもあなたを愛しているということ。
大切にしているということ。
あなたの為なら、だいっきらいなヒーロー育成校だって。
苦じゃないんだよ。
泣き疲れて眠っているあなたの頭を撫でて、俺はある人に連絡をした。
きっとあなたは、目が覚めた時に俺じゃなくて彼がそばにいたほうが良いと思うから。
俺は高専に瞬間移動して、彼と共に保健室に戻ってきた。
あなたの隣で彼女の手を握っている彼を見る。
…彼が来たなら、もう大丈夫だね。























編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!