翌日、臨時休校。
私は相澤さんが入院している病院を訪れていた。
その言葉に頷いて、近くの椅子に腰掛けた。
少しの間、沈黙が流れる。
彼は少し目を伏せながら、何か考え込んでいるようだった。
一言声を掛けると、彼は少し驚いたようにこちらを向いた。
この三人合わせてA組の三馬鹿、ねぇ。
相澤さんがこれに数えられてるのは以外かも。
真面目そうなのに…。
年齢差からしても、会えていたとしても
すごく幼い頃。
そこまでは覚えてないからなぁ。
目を覚ますと、そこは一面に花畑が広がる世界。
頭上にはキレイな青空がどこまでも浮かんでいた。
突然後ろから話しかけられ、咄嗟に身構える。
気配が、感じられなかったッ?!
聞いてくれないか…?
そう言った彼は、どこか悲しそうな顔をした。
最初は警戒していた私も、
彼の屈託のない笑顔を前に、警戒心を解いた。
慌てて彼に手を伸ばすも、
次に目を覚ました時には見覚えのある部屋だった。
私がそう言っても、なかなか反応がない。
どうしたんだろう?
そう思った私は、相澤先生へと目を向けた。
すると
目を精一杯に見開き、涙を零している相澤さんの姿が見えた。
嗚咽混じりに話す相澤さんの背中を擦る。
…だから、終いには泣くことすらもできなくなった。
なるほどねぇ。
私は彼の背中を擦りながら、遠くの空に浮かぶ雲を見つめる。
相澤さんは泣き止み、すっと前を向いた。
その瞳は、今までに見たこと無いくらい
力強いものだった。
私は持ってきていたカバンを持ち、静かに立ち上がる。
呪霊相手ではなかったものの、護衛対象に怪我を負わせた。
私が着いていながら。
はぁ…お説教確定コースじゃん。
まだ彼の笑顔は少し悲しそうだったけど。
どこか吹っ切れたようにも見えた。
ドアにかけようとしていた手をおろし、
相澤さんの方を向く。
私が言うと、彼はまた泣きそうな顔をしながらも、
私に精一杯の笑顔を見せた。
少し微笑んで、私は病院を後にした。
黒と白。
黒にどれだけ白を注いでも真っ白にはなれないけれど
白に少しの黒を注げば、黒に染まってしまう。
霧と雲。
一見同じものに見えるそれの違いは
地面に接しているか、空に浮いてるか。
ただそれだけ。
白雲さんは脳を弄られて、ヒーローからヴィランの黒霧になり。
そうなってしまえば、二度とヒーローに戻ることができない。
白雲さんは雲のようにふわふわと
どこか私達の手の届かない場所に行ってしまったけれど。
黒霧は霧となって、地面に拘束されてしまった。
…皮肉なもんだね。





















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。