全てに関して無気力になった私は、鏡を見るのが大っ嫌いだった。
自分の顔にムカついた。
平気で学校に行かず、ダラダラした生活が2ヶ月続いていたからだ。
私は元々「不登校」という言葉が嫌いだった。
なぜなら、お兄ちゃんが不登校だったから。
そんな不登校のお兄ちゃんの裏で、いつもママがないていることを知っていたから。
不登校という言葉が嫌いだった。
不登校という存在も嫌いだった。
私が一番嫌いだったことっていうのは、1番は親を困らせることだった。
覚えている限り9歳ぐらいから大人の顔色を見ながら、生活してきた私。
周りに合わせればそれでいい。自分の意見なんてどうせ受け止めてくれない。それが私だから。
親に何か提案された時、嫌でもやった。悲しい顔を見たくなかったから。困った顔を見たくなかったから。
だから、親を泣かせる兄の存在が、不登校の存在が大っ嫌いだった。
だから、私は親を困らせる自分が大っ嫌いになった。
困らせるなら死んだ方がマシと考えた。
その日からだと思う、左手首にはトマトジュース。
左足には引っ掻き浅く削られた皮膚。
自傷が辞められなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。