松田は、手袋をつけたまま私の頬に触れた。
松田「なぁ生きてくれよ頼むよ」
あなた「それができたら……ね」
嘘ついた。
私は本当は生きる気なんて微塵もしてなかった。
今日私はもう人生を終える覚悟をずっと前からしてた。
最後に松田と会えて、私は幸せだった。
タイマーは1分をきりはじめる。
あなた「私ね………松田の事……」
あなた「
好きだよ…付き合いたい…結婚もしたい…」
あなた「ずっと……一緒に…いたい…」
あなた「なんで…松田が生きてる時…私たち話さなかったんだろ…絶対…気ぃ…合うのに…」
私は涙が止まらなかった。
殴られた頬や傷に涙が染みる。
目がぼやけていく。
松田「………俺のせいでこんなんなってんのにな…」
松田「俺がお前んとこに来ちまって、お前が辛い思いさせちまった」
松田の手は手袋越しでも冷たくて、私の涙を拭ってくれる。
松田「俺、死ぬよりも前からずっとお前のこと好きだったんだぜ」
松田「死んでも、お前のとこ行くぐらい好きなんだぜ」
松田の声が震えていて、泣きそうな感じが伝わる。
松田「お前にただ、好きだっつって言えばいいのに言えなかったんだよ」
松田「お前と話せて嬉しかったんだぞ俺…さっさと言うこといってあの世行きゃいいのによ」
松田「このままでもいいかもしれねぇって思うぐらい…」
松田の言葉が止まる。
30秒を切るタイマー。カチカチいう音が大きく聞こえる。
あなた「松田……なんか…薄い…」
少しずつ松田の体が薄くなってるように見えた。
松田「お前…死に急ぐんじゃねぇよ…」
あなた「そっちこそ…死に急ぎ野郎…」
少し笑えた私たち。
松田はこれからあの世に行っちゃうのかな。
みるみる薄くなってくる松田に寂しさを覚える。
あなた「死んだら……どうする…?あの世に私が行ければ……付き合う…?」
松田「当たり前だろ……これで断る馬鹿いねぇよ」
あなた「そっかぁ……私たち付き合うんだぁ……」
ふふっ…と笑ってしまう私。
あと10秒。
松田「俺、次はお前のこと触れんのか」
あなた「同じ…幽霊になるかも……ね…」
松田「じゃ…触れるよな……」
あなた「ハグくらいしてよ…」
松田「俺がしてぇよ」
頭を撫でてくれる松田の手が心地よかった。
松田「また、あとでな」
あなた「うん、また…あとでね」
あなた「だいすき」
3秒
松田「馬鹿。死んでも会いに行くやつが大好きだけかと思うなよ」
2秒
あなた「うん…そうだ…ね」
1秒
"また……一緒に……いようね…"
12月24日
とあるビルが爆発、女性1名の焼死遺体が発見。
警察は司法解剖の末、警視庁女性警部だと判明。
警察はビル付近で不審な女性を逮捕。その後、ビル爆破及び殺人事件として捜索を進めている。
1週間経ったニュースがまだ流れる警視庁刑事部捜査一課強行犯捜査三係。
松田陣平に続きの殉職にまわりは悲しみに暮れていた。
しかし、その警部のおかげで最近活動が活発だった反社会勢力を取り押さえ、壊滅することに成功。
それを称えられ、黙祷が実施された。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。