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ねえ、織田作。彼女を救えたら君の云う、善い人間になれるだろうか___________
当然、答え等返って来ない。けれど私には、織田作が笑って頷いて呉れた様に見えた。
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よし、では先ず、此空気を何とかせねば。
私は何時もの様な_まるで、道化師の様な笑顔を浮かべると俯く彼女に声を掛けた。
太「御免ね、初対面の男の戯言だと思って聞き流して呉れ給え。そうだ、自己紹介が未だだったね。私は、太宰___太宰治だよ」
『いえ、其の.....迚も心に刺さる、的確な言葉だったと思います。少し.....考えて見ますね。あ、私は、二葉亭あなたです』
彼女は自己紹介を済ませると、控えめに口角を上げた。
迚も上品な仕草___________其の些細な動作から、彼女は幸せな家庭に生まれたのが判る。
楢何故、彼女は生きる理由を.........
いけないヾ、深追いするのは感心されることではないね。
太「あなたちゃんか!美しく可憐な君を表す、善い名だね。」
『有難う御座います』
彼女は控えめに笑った。
否、控えめに笑っただけだ。大体の女性ならば、之を云えば忽ち頬を夕焼けに染めると云うのに。
矢張り彼女は何処か一つ、他の者とは違う様だ。
太「あ、そうだ。あなたちゃん」
『如何されました?』
太「君は、自分が生きる理由が判らないと云ったね?生きる理由探し、私に手伝わせて呉れないかい?」
『え、でも其れは迷惑が掛かるのでは.....』
太「私がしたいと思ったんだから、いーの。其れで、善いかな?お手伝い」
『そこまで仰る楢、断るのも失礼.........宜しく御願いします』
太「噫、任せ給え」
私は半ば強引に、彼女との約束を取り付けた。
彼女に生きる理由を教える為には、先ず私が"生きる"とは如何云う事なのか知らなくてはならないね。
.....
まあ、善い。其れを考えるのは、今夜でも遅くは無いさ。
今は、彼女_あなたちゃんと仲を深める為に彼処に行くとしよう。
太「四迷ちゃん。今からお茶にしようと思うのだけど、一緒に如何かな?」
『今日はこの後、特に予定もありませんし.....御一緒させて頂きますね』
太「ふふふ、では早速行こうか。其れと、そんなに堅苦しい話し方をしなくても善いのだよ?」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!