佐久間大介
しばらくして
阿部ちゃんがびっしょびしょで戻ってきた
黙ってそのままタオルで頭を拭いてる
見つからなかったんだ
俺はふと思った
君は2次元から出てきたんじゃない?
でも、たまに香る君の甘い香りが現実だと言う
大介「ねぇ、あなたって石鹸だったのかな」
亮平「何言ってるの?」
大介「ごめん」
亮平「あー、ちょっと俺も思った」
ふふって阿部ちゃんが笑うから
少しほっとした
石鹸ってさ
お風呂で使ってると
知らない間に溶けてなくなるじゃん
なのに香りは残ってるの
まるで今のあなたみたいだよね
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!