第60話

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2025/09/22 17:19 更新
夕食もお風呂も済ませた夜。
あなたと壬氏がようやく2人きりの時間を期待しはじめたとき、
子どもたち――雪蘭と凌雲は、まだまだ元気いっぱいだった。

そのとき、壬氏さまがあなたの耳元にそっと顔を寄せ、しっとりと囁く。
壬氏
壬氏
……どうしてもあなたと、今夜は2人だけで過ごしたい。子どもたちは、私が責任を持って寝かしつけよう。






あなたは思わず微笑み、「お願いします」とそっとうなずく。
    


壬氏さまは子どもたちの寝室に行き、普段よりも張り切って
「さあ、そろそろお休みの時間だぞ」と優しい声で寝かしつけを始めた。







だが――

凌雲(息子)
凌雲(息子)
おとうさま、おはなし、もう一回!
雪蘭(娘)
雪蘭(娘)
おうたも歌って!
凌雲(息子)
凌雲(息子)
お水……
雪蘭(娘)
雪蘭(娘)
お手て!だっこして!






はじめは微笑ましく対応していた壬氏も、だんだん焦り始める







壬氏
壬氏
(なぜだ、今夜ほど寝てくれない日があっただろうか……)
壬氏
壬氏
さあ、そろそろ目を閉じて……いい夢を見るのだ。





しかし、2人は全然寝る気配がない。

凌雲(息子)
凌雲(息子)
ねえ、お父さま、きょうのお話きかせて~!
雪蘭(娘)
雪蘭(娘)
まだねむくないもん!





うっすら焦る壬氏。それでも優しく頭を撫でながら、物語を語り始める。






壬氏
壬氏
……昔々、とても仲のいい夫婦と、かわいい子どもたちがいて――






ところが、話が盛り上がると雪蘭も凌雲も、ますます元気になってしまう。
凌雲(息子)
凌雲(息子)
もっとつづきがいい!
雪蘭(娘)
雪蘭(娘)
だっこして~!!





壬氏さまは何度も「そろそろ寝なさい」と優しく、時にちょっと不器用に子守唄まで歌うが、
ふたりの子どもは可愛くじゃれついてきて、なかなか寝付かない。












やっと雪蘭がうとうとし始め、凌雲も小さくあくびをして布団にくるまる。

壬氏さまは息をひそめて、あなたが待つ隣の部屋のふすまを開ける。
やっと2人きりになれた安堵とともに、思わずあなたの肩に額を預ける。
壬氏
壬氏
ああ……あなた。こんなに子どもたちに振り回されてしまうとはな……




あなたは優しく笑い、壬氏さまの頬をなでる
(なまえ)
あなた
でも、壬氏さまが一所懸命に頑張る姿、すごく愛しかったですよ。







壬氏さまはふと悪戯っぽい微笑みを見せてあなたを抱き寄せる。
壬氏
壬氏
お前と2人きりの時間が、こんなにも貴重なものになるとは……今夜は、絶対に離さない。






ようやく手に入れた2人きりの夜は、
子どもたちのぬくもりも、いとおしく感じながら――
愛しさがいっそう深まる、幸せな夜となった。

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