小鳥の囀りが聞こえる
生暖かい風が頬を掠めていく
しゆちゃと出会って3度目、4人と出会って2度目の、春が来た。
僕等6人は、学校の中庭に背中合わせで座っていた
ぱち、と一つ瞬く
なにか、景色が違う気がする
隣にいるばぁうくんが前を指さす
その方へ向くと、桜の花びらが風に乗って舞っていた
てるちゃんは八重桜っぽいよね、なんてばぁうくんは笑う
桜の木を見てそう言うと、ばぁうくんは驚いた表情で僕を見た
それを見た僕は、落ちていた桜一房をばぁうくんに差し出した
僕が頷くと、ばぁうくんの瞳が輝いた
ばぁうくんの隣のそまちゃをあしらい、また桜の方を向くと、ふと肩に重みがかかった
僕の肩に頭を預けたしゆちゃが僕を見上げる
なんとも言えない気持ちに、思わず空を仰いだ
言葉に詰まる。
あのときのような感じじゃなくて、いたたまれなさがある。
しゆちゃの隣のまひとくんがしゆちゃを引っぺがしてくれて、取り合えず安堵する
まひとくんは突然手を合わせて微笑んだ
そう言って頬をかくまひとくん
なりた”かった”と一番初めに浮かぶのは、『みんな』。
不特定多数の人間が『普通』と言う『普通の人間』。
そう、なりたかった。
でも……
いつか、君になりたい、と言ったことがあるだろう。
嫌味しか詰められてないその言葉に、どれだけ自分が呆れたか
でも、これは本心だ。
嫌なことなんて、いくらでもあっただろうに、僕を嫌わないでいてくれた。
そんな君たちが好きだ
勢いよく手をあげるまひとくん
思わず微笑する
そうか、そうか…
僕”みたい”に……
新しいおもちゃでも見つけたように目を光らせるしゆちゃ
まひとくんが拾った枝で地面に文字を書いていく
またまひとくんが枝を地面に滑らせる
飛び交う言葉に百面相するみんなが面白くて、思わず顔が綻ぶ
嫌だった灰色が、好きな灰色になった。
鬱陶しかった虹色が、僕を照らす光になった。
僕の春に、灰色に、青が差した。
風が吹いて、思わず瞬きをひとつ。
ゆっくりと開けた瞳に映るのは、僕が見える彩。
ああ、なんて綺麗なんだ、と、目を細めた
もう笑って誤魔化さない。
もう一度、瞬きをする。
シャッターを切るように、瞼の裏にこの情景を、焼き付けた
僕の幸せの色は、この5色だ。
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何度生まれ変わっても、また君の星になる
視界は暗く、浅く。
でも、安心するような
心の中です












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。