第8話

自覚
5
2026/08/30 08:20 更新
週が明け、テスト期間が近づくにつれて、校内はどこか落ち着かない空気に包まれていた。

そんな中、休み時間の廊下で女子生徒たちの話している声が、俺の耳に飛び込んできた
他クラスの生徒
ねえ、知ってる?隣のクラスのーーちゃんが、小川くんに告白したらしいよ!
他クラスの生徒
えっ、マジで!?男の子だけどめっちゃ可愛いし、断る理由なくない?
他クラスの生徒
キャー、どうなったんだろう!?
ドキン、と心臓が嫌な音を立てた。
霧島縁
霧島縁
(小川が.....告白された.....?)
胸の奥がぎゅっと締め付けられ、モヤモヤとした感情が渦を巻く。
昼休み。屋上へ続く踊り場で、僕は一人でパンをかじっている小川を見つけた。
霧島縁
霧島縁
小川
小川薫
小川薫
あ、緑くん!探したよ〜、どこ行ってたの?
いつもの無邪気な笑顔で手を振る小川。

俺はその隣に腰を下ろし、努めて平然を装いながら尋ねた。
霧島縁
霧島縁
.....お前、女子に告白されたんだって?
小川はパンを口にくわえたまま、ポカンと目を丸くした。
小川薫
小川薫
あー、うん。なんかさっき呼び出されて......
霧島縁
霧島縁
で、どうしたんだよ
問い詰めるような俺のトーンに気づいたのか、小川はパンを口から離し、少し不思議そうに俺を見つめた。
小川薫
小川薫
どうしたって.....ちゃんとお断りしたよ?
その言葉を聞き、ホッと胸を撫で下ろす自分がいた。

だが、次の瞬間、小川がぽつりと呟いた言葉に、俺は呼吸を忘れることになる。
小川薫
小川薫
僕ね、好きな人以外とは付き合わないって決めてるから
霧島縁
霧島縁
.....好きな人?
思わず聞き返すと、小川ははっとしたように口を押さえ、顔を真っ赤にした。
小川薫
小川薫
あ、いや!今のは例え話っていうか......
慌てて手をブンブンと振る小川。

だけど、赤くなった耳たぶと照れくさそうに泳ぐ視線が、嘘をつけない性格を物語っていた。
霧島縁
霧島縁
(好きな人が.....いるのか......?)
その人が誰なのかを想像しただけで、胸が痛くなる。

このモヤモヤの正体を、もう俺は気づいていた。
俺は一一目の前にいる「男の娘」の小川薫を、友達としてではなく、一人の「異性」として強く意識し、恋をしている。

自分の恋心をはっきりと自覚した瞬間、隣で慌てる薫の姿が、眩しくて直視できなくなっていた。

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