WOOZI side
「…じゃあ、明日。計画通りにお願いします」
ついに明日、俺たちの最初で最後の復讐が始まる。
…正直、柄にもなく緊張している。
なぜか?
そんなの、今までとは全く違うからだろう。
そして、一歩でも間違えればもう戻れない。
「…ウジ、緊張してるでしょ」
ホシが俺の顔を覗き込み、そう言った。
別にここで隠しても意味はないので、「そうだな」と短く返す。
「ウジ、お前が全部責任を負う必要はないからな。なんかあったら、俺にも半分ちょうだい」
クプスヒョンも気遣ってそう言ってくれた。
ありがたいけれど、きっとヒョンもわかっている。
こんなことを言われようが、気持ちの持ち方は簡単に変わるものではないということを。
すると、ディノが俺の前にやってきて、静かに手に自身の手を重ねた。
「…ヒョン。ヒョンは、ジョンハニヒョンともう会えなくなるかもしれないってわかった瞬間、悲しかった?それとも…悔しかった?」
予想外の質問に、目を丸くしてしまう。
悩みながらも、静かにゆっくりと答えた。
「…悲しかったよ、そりゃあ。大切で、優しいヒョンだし…。」
でも、そうだな
「…確かに、悔しくもあった」
「長いこと一緒にいて、ヒントなんてたくさんあったのに、気づけなかった」
「最悪の事態になる前に動けたはずなのに、そこまで考えが回らなかった」
「…butterにまんまと出し抜かれたことが、俺は、悔しかったんだ」
俺にできることはたくさんあったはずだ。
それなのに、頭がいっぱいいっぱいになって、全く考えることができなかった。
そんな俺自身に対しての失望と、butterへの悔しさと、
「…でも、日記を見つけた時に、思ったよ」
そう。俺は…
いや、俺たちは
「ヒョンには勝てないんだなって」
結局、きっとヒョンの思い描いたとおりだろう。
自分は消えて、真実を日記で俺たちが知って、そしてショックを受けて。
全部、ヒョンが描いた道筋を辿っている。
「そうです。でも、きっと今の僕たちの行動は、ヒョンは予想していません」
「あの人は、僕たちが自分を恨んでいると、嫌っていると思っている。でも、そんなものこれっぽちも思っていない。そしてなんならこれから助けにいこうとしている。…それは予想していませんよ」
ディノは、俺の瞳をそっと見つめた。
「ヒョン。僕たちで、ジョンハニヒョンを出し抜きましょうよ」
「ヒョンの罪をしっかりと教えて、そしてヒョンへの思いをしっかり伝えて」
「また、円を描き直しましょう」
「消えてしまったのなら、また描き直せばいいんです」
「だって、SEVENTEENは永遠でしょう?」
ディノは、いや、みんなは、俺が思っていたよりも前向きで
何より大人なんだ。
失敗するからなんだ。
崩れてしまったからなんだ。
全部全部、自分たちで新しくやり直してやる……そんな思いを持っている。
…なら、それを生かすのが俺の役割だ。
JEONGHAN side
あの日から、俺は何もやる気が出なくて、ご飯も食べずに部屋にこもっている。
…また、やってしまった。
俺が関わって、また人が不幸になった。
優しい人ほど、苦しい状況に陥るのは何故だろう。
あんな結末になるなら、俺が死んでしまいたかったのに。
すると、ノックもなしに「パン」と名乗る男が部屋に入ってくる。
「ジョンハンさーん、ちょっとは食べてくださいよ。死んじゃいますよ?」
この男は、なんだか鬱陶しい。
俺の苦手なタイプである。
「…いらない。別に、死んでもいいし」
そう返すと、男は俺の向かいに椅子を持ってきて、目の前に座った。
目を合わせるのも、口を開くのも面倒で、ベッドに寝転がったまま上を向く。
「死なれたら困りますよ。僕がボスに怒られますし。…僕を殺したいんですか!?やめてくださいよ、そうやって殺そうとしてくるの」
おどけて騒ぐが、そんなもの全部耳を通り抜けていく。
殺す?自分がそんなんで死ぬと思っているのだろうか。
ありえないだろう。
だって、きっと彼は…
「…だって、君、クローン体でしょ?」












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。