JEONGHAN side
「だって君、クローン体でしょ?」
そう言うと、明らかに彼の動きが止まった。
やはり図星か、なんて思いながら起き上がる。
「…さすがジョンハンさん。でも、何故わかったのです?僕はかなり人間として化けることができていたと思うのですが?」
人間のように、こてん、と首を傾げる。
しかし、その首元にはあるマークがあった。
「何故、ね。だって、どうせお前ができた…、いや、お前たちと言った方が正しいのかな」
「お前たちが出来た原因は、俺だろうから」
きっと、ドギョマが本来クローン体へするためのはじめのからだだったはずだ。
しかし、それを俺がぶっ壊したせいで、もう一度やり直し。
「どうせ、データは取っておいたんだろうから、簡単に実験は再開できたけど。俺やあいつからとったデータをもとに、きっとお前に記憶や能力を与えているはずだ」
「だってお前の行動、どこか俺たちに似ているし」
…そう。
結局クローンを作るためのデータは俺たち2人のもの…。しかも一つは途中までしかない、実際不完全のものだ。
そのせいで、人格を一から作り出すことは難しかったのだろう。
だから、彼は俺やドギョマのような既視感を持つ性格になった。もちろん、戦闘においても。
「そして何より、そのナンバー」
彼の首元を指で指す。
「それは、俺にもある。クローン体作成のための実験体、というしるしだ」
…ドギョマのは、残らないように治療させてもらった。
まあ、うっすらとは見えるだろうけど…。
「俺にもあるから、お前を見てすぐに気がついたよ」
初めてといってもいいほど、彼と目を合わせた。
彼の瞳は、しっかりと潤っていて、俺の瞳を捉えている。
…けれど、隠しきれない違和感。
「ああ、お前も可哀想な人かって、」
その言葉に、彼は驚いたように目を見開いた。
「あ、あとあいつもでしょ。あのロボットみたいな。あれは一から人格を作ろうとして失敗した感じ?」
なんかクローン体として、であってもやりすぎた感じのやつだよね、
なんて思っていると、急に彼が涙をこぼした。
「……え、お前泣けるの」
それが第一声なのは、突っ込まれてしまうかもしれない。
いや、俺が大切にするのは仲間だけだから…。
という訳ではなく、単純に、クローン体にそのような感情が搭載されているとは思わなかったのだ。
しかし、彼もまた、俺と同じように驚いているようだった。
「…あれ、確かに感情の種類は教えてもらいましたし、それの演じ方も教えられましたが…。なんでしょう?これは。目から水が出るなんてこと、あり得るんですね」
ぽろ、ぽろ
涙が床へ落ちていく。
俺はまた間違えたのだろうか。
これは、俺のせいだろうか。
気持ち悪さが、胸の中でぐるぐる渦巻く。
…ああ、本当に俺は
「……俺が、お前たちを助けてあげようか」
俺は俺が、大嫌いで仕方がない。
JUN side
「ジュニヒョン。こっちです」
先に道を確保してくれていたミョンホやスングァンの案内で、僕たちはbutterの韓国本部があるところへやってきた。…正直、わかるとは思っていなかったが、匿名で住所がウジのパソコンに送られたのだ。
「本当、一体誰が教えてくれたんだろうね」
隣にいたウォヌに話しかける。
ウォヌは少し鬱陶しそうにしながらも、しっかりと「そうだな」とだけ返事はしてくれた。
少し冷たい気もするが、今はそれを詰める時ではないので、大人しく引き下がる。
「…全員いるな?じゃあ予定通り、3手に別れよう」
今回は全員が作戦に参加しているので、4人ずつのチームになって別行動をする。
まず、初めに入って警備員の目を惹きつけるのが
ホシ、ミョンホ、ミンギュ、バーノン
そしてその裏で、防犯カメラなどのあるセキュリティ室を主に集中攻撃し、セキュリティの乗っ取りを図るのが
シュアヒョン、ウォヌ、スングァン、そして僕。
そして、そのセキュリティ制圧がうまく行ったら、ジョンハニヒョンを救出する
クプスヒョン、ウジ、ドギョマ、ディノ
本当は僕も第3陣に入りたかったけど、第2陣にももう少し戦力を分けるために、僕が入った。
残念。まあ、防犯カメラとかで現場は見れるのかな?
「よし、第一陣。お前たちはかなり重要だ。ヘマはしないように、行ってこい!」
ウジが、第一陣の中のリーダーであるホシの背中を押して、出発させた。
ホシの背中が、なんだかいつもよりかっこよく見えるなぁ…。
やっぱり、いざというときは何だかんだ頼れるのがホシ。
なんて思っていると、第二陣も出るタイミングになった。
今度はウォヌと僕を見て、ただ静かに「任せた」とだけ言った。
リーダーはシュアヒョンだが、おそらく暴走しないように、責任を僕たちにも分担させているのかな?
それでも、なんだかウジがいつもより僕たちを頼ってくれている感じがして、笑みが治らない。
ふふ。嬉しいな。
だって、今日成功すれば、ようやく円も直るし、みんなのいつもの日常が戻ってくる。
僕の大好きなあの空間が、再構築される。
復讐、なんて言い方をするけど、僕はそうは思っていない。
…ただ、いつもの日常に戻るための、いつも通る道だ。
…ずっと笑っていたら、スングァナとウォヌに「何こいつ」みたいな目で見られたけど、まあいいや。
もう少しで目的のセキュリティ室に到着する。
「さ、始めちゃおう!」
僕たちの、最初で最後のパレードだ!












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。