JOSHUA side
カメラの映像を見、そしてトランシーバーから聞こえる会話の通りに、パンの案内によって、全員が無事に目的の部屋に辿り着きそうだ。
それを理解した瞬間、ふっと力が抜け、椅子の背もたれにもたれかかる。
もちろん、隣で作業していたスングァンも、だ。
ウォヌがお疲れ様、と僕達の肩を叩く。
そろそろ良いだろうと、ジュナも部屋に入れ、全員で集まった。
「よかったです…本当。ひやひたしたぁ」
スングァナが肩を回しながらそう言った。
その言葉に、僕もウォヌも頷く。
…が、ジュナだけは、少し不安そうな顔をしていた。
「でもさぁ、あのヒョンのことだから、自分が死んでハッピーエンド!みたいなことしてそうで怖いよねぇ」
「なんならボスと一緒に自殺〜みたいなこともし始めそうでさ」
ひやり、と背中に冷たい汗が流れる。
確かにそうだ。
ジョンハナはボスの戸籍上の息子で、ボスが彼を訪れることは少なくはないはずだ。
つまり、ジョンハナがボスを殺すタイミングはたくさんある。
いつ、自殺するかもわからない。
残念ながら部屋の中にはカメラがついておらず、僕達の仕事はもう終わったも同然だった。
…が、そうなると話が変わってきてしまう。
その可能性を、みんなに伝えなければいけない。
自分の中で、焦りが生まれ始める。
すると、ウォヌが静かに立ち上がって、一言。
「俺たちも行こう」
まさか、ウォヌがそう言うとは思わなかった。
そりゃあ、僕だってみんなのように現場に行って、ジョンハナに誰よりも早く会いたかった。
でも、役割は役割だと割り切っていたのだ。
…ここでウォヌに言われたら、僕はもうNOなんて言えないのに。
「…そうだね。僕達も行こうか。ジョンハナは寂しがり屋だから、みんなが揃っていないと拗ねちゃうかもね」
あえて明るい声で、残りの2人に声をかける。
そんな僕達の言葉に、2人の顔は一気に明るいものになった。
「行きましょう!みんなだけ、とかはずるいですしね!」
「ふふ。ヒョン、吹っ切れたみたいで良かったです」
ジュナは僕の顔を見て、意味深な言葉を言った。
あっけにとられる僕を置いて、三人が扉を開けて部屋から出ていく。
…全く、ジュナはどこまで知っているんだろうか。
あの子は、僕らよりも早くこの事態を想定していたに違いない。メンバーの弱い部分も、誰よりも見つけるのが早い子だから。
僕も行かなくちゃ。
大切な人を抱擁してあげなくちゃね。
VERNON side
ついに、ヒョンのいる部屋の目の前に来た。
なんだか、しばらく会っていなかったから、初っ端に何を言うべきなのかがわからない。
とりあえず、久しぶり、だろうか。
なんて呑気なことを考えながら、扉の前に立つ。
ガタン、ゴトッ
普通に過ごしていたらありえない物音が微かに聞こえ、ドアノブに触れようとしていた手が止まる。
…殴り合いでも起きているのか?
いや、ありえない。
だって、ヒョンの部屋は普通の構成員では知ることができないだろうし
クローンは皆、ヒョンを傷つけるような立場にはいないはずだ。
そうなると?
あり得るのは…
嫌な予感がして、静かに慎重に、と言われていたが思いっきりガチャリと音を立ててドアノブを捻り、開けようとする。
「ちょ、ボノナ!?慎重にって…!」
ミョンホヒョンが驚いて俺を静止しようとする。
しかし、それを聞かずに、バンッとドアを開けた。
俺たちの目の前には、決して広くはなく、質素で暗めな部屋。
…しかし、違和感はたくさんあった。
一部の家具に飛び散る血。
転がったり、机から落ちている小物や本。
そして何より…
右手に小さなナイフを持ち、ボスに馬乗りになって首を絞めるヒョンの姿。
「………ひょ、ん」
ドギョミヒョンの、弱々しい声が響き渡った。
それに、意識を飛ばしかけているであろうボスと、僕達に背中を向けるヒョンが反応する。
「…はは、なんだ?また家族ごっこでもしていたのか?馬鹿な、やつだ」
小さな声で、けれども聞こえる声でつぶやいた、ボス…いや、糞野郎は、ヒョンと俺たちを見て鼻で笑う。
その言葉に、ディノの声を荒げた。
「家族ごっこだなんて言わないでください。貴方が殺した2人は、ヒョンの大切な人で、家族のような存在だった人達です。そして、僕達だって、ヒョンのことを本当の家族のように思っている」
しかし、ヒョンは何も言わずに、ただ糞野郎の上に乗ったままでいる。
奴はその言葉は興味がないようにスルーし、ヒョンも見つめた。
「おかしい奴だ。私を殺したって、何も変わらない。何なら、私と言う後ろ盾がいなくなるということだが、その意味をしっかり理解しているのかな?きっと、今まで以上に生き地獄になるはずだよ」
ああ、本当に癪にさわる。
一回…いや、本当に黙ってくれないか。
もう、殺してしまっても構わない。
…そう思った時に、ようやくヒョンが口を開いた。
「良いです。別に。どうせ俺も死ぬから」
耳を疑った。
それは、つまり?自分も死ぬと言うことなのだろうか?
…そんなことはさせたくないのに、なぜか体は動かなかった。
それは、他のみんなも同じだったようだ。
もちろん、驚きのあまり、ということもある。
…が。
何より、一瞬でも、
死んでしまったほうが、ヒョンは苦しまないし、幸せになれるのではないか…
そう思ってしまったからだと思う。
ヒョンの本当の幸せはわからない。
けれど、少なくとも少しは、死んであの2人に会って、地獄なんかを忘れるくらいの場所に行きたいと思っているかもしれない。
生きている限り、その地獄の証が体に残り続け、それを見るたびに思い出してしまう。
そう考えてしまう、自分が嫌になってしまう。
でも、どうしても動けないのだ。
ヒョンのことを考えると、俺たちが願うことは、ヒョンにとってはすごく残酷なことなんじゃないかって。
「俺は、もうこの物語を終わらせなきゃいけないから」
「あとは俺が死ねば、ハッピーエンドになるんだよ」
「…お前と俺がしねば、もう、おわりだから」
誰も動けない。
どうするべきなのかが、わからない。
…すると
「…ジョンハナっ!!」
廊下から、ウォヌヒョンの声が聞こえた。
第二陣にいた4人も合流しにきたようだ。
「……そっか、ヒョン。もう、終わらせるつもりなんだ?」
ジュニヒョンは静かに、感情を見れない声色でそう告げる。
「ジョンハナ」
シュアヒョンの落ち着いた声が響く。
ジョンハニヒョンは、反応こそしないが、続く言葉を待つように動きを止める。
「…ジョンハナ、」
「なんで、僕達の言葉は聞いてくれないの?」
ちょっと中途半端かもしれませんが、一旦!
お待たせしました…。
新学期が始まったこともあり、バタバタとしていて…
これからは今まで以上に遅くなるかと思います。
けれど、絶対に更新はします!
完結したら、アンケートで決めた新作とか!または気が向けばまた違う新作二つ目とか!
絶対に書きたいので!
ゆっくり、ゆっくりとお待ちいただければと思います…。
あ、あと、このお話のここがよくわからなかった〜とか
ここは何につながっているんだろう〜とか、質問をいただけば、完結後解説でもしたいなぁ…と思っておりますので、
気になった点があれば、ぜひ、いつでも良いのでコメントしてください📝
なんならただのお話でも嬉しいので…☺️
またしばらくお待たせしてしまうと思いますが、これからも夜の妖精の秘密の庭、そしてHaloをよろしくお願いいたします!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。