たとえどんなに辛く苦しいことがあろうと、ステージに立てばたちまちファンに笑顔を振り撒く、輝いたそんな画面の中の存在が、どんな敵を倒すヒーローよりもカッコよく見えた。
あの笑顔を嘘だと言われてもいい。だって、輝いているのは本当なのだから。自分は、自分たちは。その嘘に沢山の勇気を、希望を、歓びを貰ったから。
なりたい、あの輝きに。
たとえ、人間じゃなくなったとしても。
今日は僕たち、もといVOLTACTIONの2ndアルバムを記念した地上波パフォーマンスの当日だった。以前から業界で実力の高さを評価されることはあったものの、中々スポンサーに恵まれず地上波のTV番組に呼ばれることは多くなかった。そんな中、満を持しての出演。
ファンの皆もマネージャーもプロデューサーも、今日の僕たちを楽しみにしていた。絶対に失敗してはならない。
とまあ、現実はそう上手くはいかないわけで。
結果、SNSの日本トレンドに乗ることは出来たものの。
完全にその後登場した"彼ら"には完敗。今回の挑戦は2位で終わった。
僕が幼少期にアイドルを志してから、アイドルの形は随分と変わった。人々の娯楽が変わり続ける現代社会で、漸くバブル期に突入した日本で流行していたのは大きく2つ。
"推し事"と"賭博"である。
これに目を付けた芸能界のお偉いさんが始めたことが、アイドルを使ったギャンブル。自身の注目しているアイドルに金銭を賭け、その中で客から最も評価されたアイドルに賭けた金が何倍にも増える。アイドルには常に順位が付けられており、これが上がるほどスポンサーや仕事も増える。アイドルは昔の何倍も人気主義になり、一般人の間でも一種のスポーツとして楽しまれるようになったのだ。
こうして僕はメンバー2人に楽屋で慰められている、という訳である。情けない。
雲雀は一際パフォーマンス…特に歌への意識が高い。元々歌手志望だったと、養成所時代本人から聞いた。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。