第25話

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503
2023/12/05 09:00








まだまだ、序盤の話。


多分、みんなが知りたがってるのは上杉さんのこと、


学校のこと、……塾のこと。




全てを私は話せるのだろうか。


話せないと、「 仲間 」にはなれないのだろうか。


平等には、なれなくて、


嫌われるのだろうか。






(なまえ)
あなた
…カフェで出会った後、
私の家へ行きました。
黒木貴和
黒木貴和
その後、俺はあなたの下の名前の家…
今の俺の実家に引っ越した。
若武和臣
若武和臣
つまり、出会って初日で同棲ってことか?
立花彩
立花彩
若武言い方ッ
小塚和彦
小塚和彦
若武。それはちょっと違うと思うな
七鬼忍
七鬼忍
同棲かぁ、確かにな
美門翼
美門翼
面白いでしょ、黒木たちの両親



若武くんの言葉に、


みんなが一斉に非難するなか。



上杉さんだけはいつも冷静だった。


いや、冷静になるように。


必死で隠して、


装って。


繕って。





(なまえ)
あなた
私たちの父親は少し大きな会社の社長なので、
その後に本家への挨拶に行きました。
立花彩
立花彩
本家なんてあるんだ…
七鬼忍
七鬼忍
俺ん家みたい…
……ん?
(なまえ)
あなた
!!
分かりにくかったですか、七鬼くん…?
七鬼忍
七鬼忍
いや、お前黒木あなたの下の名前だよな?
(なまえ)
あなた
ええ、そうですね
七鬼忍
七鬼忍
…前言ってた七鬼家のパーティーって…
(なまえ)
あなた
七鬼家の何百年記念パーティーですね
七鬼忍
七鬼忍
…黒木ゆあ…。その当日、何もやることが
なかった俺が、初めて知りたいと思った奴。
立花彩
立花彩
どう言うこと?!
小塚和彦
小塚和彦
七鬼とあなたの下の名前ちゃんはずっと前から
知り合いだったってこと?
若武和臣
若武和臣
話が横道に逸れたぞ、七鬼!
(なまえ)
あなた
…そのあと、お兄とは直接あまり関わりませんでした。
七鬼忍
七鬼忍
話逸らすなっ?
上杉和典
上杉和典
逸らしてるのお前だから一回黙れ
美門翼
美門翼
七鬼、落ち着いて最後まで聞きましょ
(なまえ)
あなた
そうですね、まともに話したのは
半年は経っていたでしょうか。
黒木貴和
黒木貴和
そうだったか?
(なまえ)
あなた
ことごとく無視されたので。
美門翼
美門翼
黒木、お前って人は…
立花彩
立花彩
黒木くん女の子の扱い上手なのにね笑
小塚和彦
小塚和彦
妹の扱いは下手なんだ〜笑
(なまえ)
あなた
確かに、持ちつ持たれず…
微妙な距離感を保つのが得意だったね、お兄。
黒木貴和
黒木貴和
まあ…
関わりたくないとは正直思ってた。
上杉和典
上杉和典
思ってたのに、関わったんだろ、お前は。
黒木貴和
黒木貴和
上杉先生、許してよ笑
若武和臣
若武和臣
その時何があったんだよ?!
(なまえ)
あなた
お兄とまともに話したとき、
互いに小さかった、と言いましたよね?
七鬼忍
七鬼忍
さっきの話だと、7歳?
(なまえ)
あなた
そうです。
7歳にして、私たちは世界を知りすぎていた…と、
言えばいいのでしょうか。
(なまえ)
あなた
2人で、聞いてしまったんです。
黒木貴和
黒木貴和
小塚和彦
小塚和彦
聞いてしまったって…何を?
(なまえ)
あなた
父と母の喧嘩です。
私たちの前で演じられている「夫婦」ではなく、
二人本人」としての言葉を。
若武和臣
若武和臣
言葉の意味は分かったのか?
(なまえ)
あなた
私たちを、売ろうとしていること、ですかね
黒木貴和
黒木貴和
大まかに言えばそうだ。
父は会社を経営していて、そのときは資金がなかったんだ。
立花彩
立花彩
子供を売るって……
(なまえ)
あなた
だから、私たちは───







口を開くと、全てを言ってしまいそうで。



どうすればいいのかわからなかったけど、



貴方の顔を見ると、毎回安心するの。




─くん。








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