―――No Side 夜中 イーストン魔法学校
アビスとの戦闘を終えたマッシュは、今まさに神覚者――レイン・エイムズに止められていた
そのレインはこちらに杖をかまえ、横に目に数字があるクモを連れていた
「え。そんな……」とマッシュは呟きながら、シュークリームを食べていた手を止める
次の瞬間、鋭い刃が目の前に向かってきた
二本指で刃先を挟み、向かってきた勢いで後ろにずれながら危険を回避した
文句を言うマッシュを横目に、クモの目の数字を確認する
四つある目の数字は、いずれも0を表していた
「ちょっとミスったかもクモ……」と焦るクモを見るに、自身の魔法を完全に素手で凌いがれたことを察するレイン
もしや……、と感じたレインは3%の“パルチザン”をマッシュに向ける
「え」と言ったマッシュは、無数に飛んできた剣を今日に避け、椅子を作っていた
最早アイデンティティを失ったクモは語尾に「クモ」をつけることを忘れ、全く反応しない数字に、更に焦っていた
魔法を使っていないマッシュから感じる、異質な魔力を疑うレインは、マッシュが無邪気な深淵の類ではないことを理解する
“10% パルチザン”―――先程より更に増えた剣たちが、マッシュを襲う
マッシュは一瞬目を見開き、本能的にローブの内側にしまっていた物を取り出した
正八面体のそれは黒く光り、しっかりと手で掴むと背丈ほどある闇色の大鎌に変形した
そしてマッシュはそれを使い、飛んできた剣を全てバンドの動作で殺しきった
攻撃が止むと、大鎌は元の正八面体のキーホルダーに戻り、マッシュの手の中に収まった
呆気にとられているクモを他所に、マッシュは手の中のそれをじっと見つめる
そんな中、レインは確信していた
先程の大鎌も、異質な魔力も…………マッシュのそれではないということを。そして彼が、魔法を使えないことを
レインはそんな彼に名前を尋ねた
その名を聞き、レインはウォールバーグ校長の言っていた、“特殊な事情を抱える二人の生徒”のことを思い出す
「そうか、お前がその一人か」と呟いたレインは、マッシュに一連の非礼を謝罪した
図星だったようで、マッシュは少し視線を泳がせた
その隙にサッとキーホルダーをしまう
レインはお詫びとして、軽傷を負っているマッシュにウサギ柄の“巻けば傷が癒えるハンカチ”を渡した
多少マッシュは柄に引きながらもそれを受け取る
レインは魔法の使えないマッシュを神覚者候補として認め、激励の言葉(?)を送り、その場をあとにした
マッシュと別れて少しした頃、レインは一人、呟いていた











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!