照りつける日差しの中
学校を目指して歩く
夏休み中だけど 美術室で描いた方が捗るからなぁ
隣を並んで歩く私の方は汗だくで
当の本人は涼しい顔をしている
職員室で鍵を受け取り美術室へ戻ると
治は扉のそばの壁にもたれながら本を読んでいた
治は付き合ってから
積極的に想いを伝えてくれるようになった
けど、それだけで 手を繋ぐわけでもなく
二人同じ空間で過ごすだけで
特に恋人らしい事を することはなかった
場がシーンと静まり返り
太宰が読んでいた本をパタリと閉じた
普段とは違う鋭く冷たい視線に
背中に冷たいものが走る
どうしよう、治を怒らせちゃったかも
上手く視線が合わせられないし声も震える
あれ?怒ってない、、、
いつもの治だ
治の手が伸び きゅっと強く指が絡む
そう呟いた瞬間に 握られた手が強く引かれて
腕の中にすっぽりと収まっていた
そう言って近づいてくる治の顔に耐えきれず
私は 強く目を瞑った













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。