朝のオフィスは、まだ少し静かだ。
パソコンを立ち上げて、今日のタスクを頭の中で整理しながらコーヒーを一口飲む。
少し遅れて入ってきた声に顔を上げると、山中くんが軽く手を上げた。
返すと、なぜかそのままこっちに来る。
あなたの席、あっちだよね。と思いながら見ていると、デスクの横に立ったまま顔を覗き込まれる。
くすっと笑われて、少しだけ眉をひそめた。
でも全然気にしてない顔で、そのまま画面をちらっと見て、
満足そうに笑って、やっと自分の席に戻っていった。
なんでこの子、こんなに距離近いんだろ。
他の人にはここまでじゃない気がする。
午前中の仕事は、いつも通り淡々と進んでいった。
途中、何度か視線を感じて顔を上げると、そのたびに山中くんと目が合う。
別に話しかけてくるわけでもないのに、目が合うと少しだけ笑ってくる。
気にしないようにしつつも何となく意識してしまう。
昼休み。
答えると何故か嬉しそう。
箸を止めてこっちを見ながら、ふわっとした調子で言う。
さらっと言われて、一瞬思考停止する。
すぐに笑って流されるけど、なんか納得いかない。
そう言って、何事もなかったみたいにご飯に戻る。
なんなんだろう....この感じ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。