俺たちは声を頼りに近くにあるはずの公園へと向かった
思ったより近くに公園はあって、
そこにある2人がけ程の小さなベンチに座ってる人がいた
正直、怖い
元から人に喋りかけるのは苦手だし、
それが音楽関係となると尚更
でも、初めてだったんだ
少し歌声を聞いただけで惹き込まれて、
この人の為に曲を作りたい
そう思えたこと
俺は勇気を振り絞って
自分に喝を入れるように一言
小さくそう言って彼の方へ歩いていった
俺が少し話しかけただけでこの驚きよう
焦ってその場から駆け出そうとした彼の腕を
俺は咄嗟に掴んでしまった
急に腕を掴まれてびっくりしたのか、
凄い勢いで振り返った彼と視線がぶつかる
その瞬間、俺は息を呑んだ
ぱっちりした目に高い鼻
ざっと見ても俺よりも10cmは高いであろう身長に長い足
彼の全てがかっこよく見えて、
心臓がうるさい
掴んでいる腕から俺の脈が伝わってしまうんじゃないかと
不安になって、俺は急いで手を離して早口に喋った
さっきの戸惑った表情と打って変わって
目を見開いてあたふたし始めた彼
うーん、今度は俺が戸惑う番みたいだㅎ
ただでさえ大きい目をキラキラささて
嬉しそうに、そして幸せそうにそう話す彼
あの3人以外からこんなに歌を褒められたのは久しぶりで
耳まで赤くなるくらいには嬉しかった
そんな俺を見てにこにこと微笑む彼
あぁ、声をかけれて良かったな
心からそう思った
こうして交わされた俺とドギョムの約束
人見知りで初対面の人にはあまり素で話せないけど
なぜかドギョムとはスムーズに話せた
彼の明るい性格のせいかな
キラキラと輝やく瞳は綺麗で、彼の笑顔は
泥沼へと落ちていく俺に差す一筋の光のようだった
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。