誰か、呼んでる…?
一体誰が・・・
目が覚めると、そこには見知らぬ人がいた。
そして周囲を見てみると、全く知らない部屋。
———どうして俺はこんなところに。
すると、ボーッとしている俺を見て寝ぼけていると思われたのか急かされた。
やたら親しげに話しかけてくるその青年は、そう言って部屋から出ていこうとするので、呼び止めた。
俺の名前はあなたの元の名前(フルネーム)だ。あなたの下の名前なんて名前ではない。
一体誰のことを指しているのか。いや、解ってはいる。ここには俺と青年しかいない。
よって俺のことを言っていることは理解はしているが、何故俺のことをあなたの下の名前と呼ぶのかが解らない。
すると、俺の言葉を聞き目を見開き固まっていた青年は、意味を持たない音を吐きながら「とりあえずここで待っていて」と残し、走って出ていってしまった。
部屋の外からは大声で「あなたの下の名前が記憶喪失になってる」と叫びながら走っている彼の声が響き渡った。
それから数分後、母親と思わしき女性と共に青年が戻ってきた。
女性が心配そうな声で尋ねてくる。
勿論俺はあなたの下の名前なんて人は知らない。
すると今度は青年が質問をしてきた。
あなたの下の名前という人物に兄がいたのかと少し驚きはしたが、そんなこと俺に解るわけがない。
項垂れて落ち込む彼を見ると、すごく申し訳なくなるが、俺にはどうすることもできない。
すると、由美と名乗った彼は女性にお願いをした。
そして病院の予約を取るから、それまではゆっくりしているよう言われ、俺はベッドに戻った。
それから30分程経った頃、やっと冷静になってきた頭で考えた結果、この世界は”佐々木と宮野”の世界だと解った。
何故俺が一人っ子のはずの宮野の弟になっているのか。そもそも俺の元いた世界の俺はどうなったのか。全く解らないことだらけだ。
それに、宮野の1つ下ということは、俺は中3か高1ということになる。元大学3年生の身としては、中々に若返った気がしてならない。酒が飲めないためよけいに。
そんなこんなで病院に3人で行くこととなった。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。