第15話

八話
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2025/07/21 23:44 更新
陽が昇りきる少し前。蝶屋敷の空気はまだひんやりと澄んでいた。
門の前に立った時、疲れなのか私の足は小刻みに震えていた。


中から門の扉が静かに開いた。
その向こうに立っていたのは────師範だった。

胡蝶しのぶ
あ.........
師範の唇が小さく開いたまま動かない。
目の奥が揺れていた。

胡蝶しのぶ
……カナデ
その声は少し震えていた。
私が無言でうなずいたその瞬間、師範の表情がふっと崩れた。
胡蝶しのぶ
......ああ、よかった......っ
言葉と同時に、師範の目から涙がこぼれ落ちた。
ふだんはあれほど感情を見せない師範の頬を、透明な線がつたっていく。
胡蝶しのぶ
あなたが、帰ってきてくれて...本当に、よかった......っ

胡蝶しのぶ
...ごめんなさい、取り乱して
袖でそっと涙をぬぐいながら、微笑んだ。
胡蝶しのぶ
おかえりなさい

その言葉を聞いて、私の中の何かをじんわりと溶かしていった。

涙が一粒、ぽたりと頬を伝った。

その一粒を皮切りに、まるでせき止めていたものがほどけたように、あとからあとから、大粒の涙がこぼれ落ちていく。
カナデ
......っでも、私だけが......っ
その一言に、師範の目が再び震える。
胡蝶しのぶ
ええ、わかってる
彼女の手が、そっと肩に添えられる。
胡蝶しのぶ
でも、あなたが帰ってきたことが、今はただ......それだけで、うれしいの



白影(しらかげ)
カアア
白影がひときわ高く鳴いて、藤の枝をかすめて飛んだ。
私の肩にふわりと降りたその羽が、ひときわ白く朝日に透けて見えた。







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今回は、一つの話が短いので、八話、九話連続で更新させていただきます🙇‍♀️お昼頃になりますが、お読み頂けると幸いです*ˊᵕˋ*
鬼の血と隊士の魂、八話お読みいただきありがとうございました!

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