日差しが柔らかく差し込む庭園を通り過ぎ、蝶屋敷から派遣された伝令と共に、私は産屋敷邸へ向かっていた。
白影が肩の上でくるりと首を傾げる。
緊張が、胸の奥でじわりと広がっていく。
やがて、産屋敷邸の門が開かれる。
中庭に導かれると、そこにはすでに九人の柱が集まっていた。
炎、風、音、霞、蛇、岩、恋、水、そして蟲────
誰もが圧倒的な存在感をまとっている。
恋柱──甘露寺蜜璃
髪色がピンクと黄緑色のグラデーションという、なんとも不思議な容姿をした彼女が近づいてきた。
彼女の大きな瞳に、ぱちぱちと見つめられる。
緊張しながらも答えると彼女は、ぱあっと更に笑顔になった。
彼女の隊服は師範とは全く違う、胸元が強調された際どいものだった。
彼女の顔は、まるでゆでダコのように真っ赤になっていた。
私の隊服は上は他の隊士と変わらず、下はぴったりとしたミニ丈のタイトスカートに、底が下駄になっているニーハイブーツ、師範と色違いの赤と黒の蝶の羽織になっている。
師範は不敵な笑みを浮かべながら、淡々と話していた。
そのすぐ横で、蛇柱──伊黒小芭内がちらりとこちらを見た。
口元を包帯で隠したまま、何も言わないが、視線はどこか警戒を帯びている。
全身傷だらけでつり目の風柱──不死川実弥の吐き捨てるような声に、背中がびくりとする。
だが、師範が穏やかに笑みを浮かべながら一歩進み出た。
風柱は舌打ちをし、そっぽを向いた。
その様子を図体が私の頭三つ分飛び出た大きな男性が、腕を組んだまま見ていた。
音柱──宇髄天元だ。
赤い瞳がじっと見下ろしている。
それをやけにオーラが強い炎柱──煉獄杏寿郎が力強く頷きながら、にこやかに言った。
私の二倍あるのでは無いかと思うくらい背の高い、岩柱───悲鳴嶼行冥は数珠をジャリジャリと擦りながら涙を流していた。
霞柱──時透無一郎は一人だけ空を見ていて、私の存在に気づいているのかも不明だった。
水柱──冨岡義勇は庭園の隅っこでぽつんと一人で立っている。
おおよそ紹介が終わると、庭園の奥の方から草の擦れる音と足音が聞こえた。
ふと顔を上げると、数人の隠が現れその中央に誰かを担いでいた。
担がれているのは、黒と緑の市松模様の羽織を纏った少年。
顔には傷と泥がつき、意識はなく、ぐったりとしている。
隣に立つ師範がぽつりと呟く。
私は目を細めてその名を聞いた。
聞き覚えはあった。この騒がしい会議の原因でもあり、鬼を連れているという前代未聞の隊士
その真偽を確かめるために、柱が集められている。
信じられない。
彼の後ろから木箱を抱えた隠がついてくる。
その中に───件の鬼がいるという。
最終選別にいたあの鬼だって結局は人を喰っていたのだ。
自分の胸に芽生えた小さな疑念が、香のように揺らめいていた。
だからこそ、確かめたかった。
この少年の目に、どんな”嘘”と”真実”があるのかを。
なのです!!皆様さっそくお読みいただきありがとうございます🥹💕︎︎
鬼の血と隊士の魂、九話お読みいただきありがとうございました!
♡5→🆙













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!