いくらメッセージを送っても、
いくら僕が話しかけても、
あなたの下の名前は口を開いてくれなかった。
だから僕は去ろうとするあなたの下の名前の腕を掴んで
必死に訴える。
それは咄嗟に出てきた言葉でもあり
僕の本音で本心だった。
僕がそのまま話し続ける度、
あなたの下の名前は不満そうな顔をして。
僕が喋ろうとした瞬間、
その言葉を遮るようにして
あなたの下の名前は___怒鳴った。
そう言って、また元の方向を向いて、
あなたの下の名前は走り出して行ってしまった。
僕はあなたの下の名前の背中に手を伸ばしてみるけど
その手はもちろん届かない。
走り去るあなたの下の名前の背中が消える頃には
もう空はどんより黒く染まって
たちまち大雨が降り注いだ。
僕のか弱い声は空に消えていって
雨となって僕を打ちつける。
僕は1人雨の中、
彼女のように『 独り 』で
その場に立ち尽くしていた。
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投稿頻度あげます‼️ 1週間に1話更新から、1日1話更新にさせて頂きます‼️
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。