第29話

見守る側の心境
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2025/03/16 21:18 更新
FL
FL
あ、スンミナー!
久しぶりっ♡
建て付けの悪い扉を開けると、ヨンボガが笑顔で出迎える。
早い時間のせいか、今日はそんな足取なのか、まだ客はまばらだ。
FL
FL
ちょっと背伸びた?
僕やヒョンも、いつの間にかに抜かされちゃったねぇ。
SM
SM
そのうちチャンビニヒョンが視界に入らなくなるかも。
FL
FL
怒られるよー?
あの人大きなお兄さんに囲まれて、コンプレックスなんだから。
そう軽口を叩きながら二人は笑う。
俺たちは今日の定食二人分と、俺用にビールを一本頼む。
SM
SM
…ヒョン、仕事は?
LK
LK
今日は休み。
お前はダメだからな、未成年。
SM
SM
あと一年ちょっと待っててくれたら、ヒョンと一緒に酒盛りできるのにな。
それはそれで楽しみのような気もする。
まだ30前後で、成人した息子と酒を交わすみたいな人生、想像しなかった。
SM
SM
ほら、ヒョン。
また僕の父親ムーブしようとしてるでしょ。
LK
LK
はぁ?
SM
SM
昨夜のこともあったんだし、もうちょっと甘い雰囲気…い″でっ!!
余計なことを言いそうなスンミナの脚を机の下で蹴る。
それに笑うヨンボガは、案外察しがいいところもあるから、もう色々と気づいているかもしれない。
FL
FL
そういえば、イエナがオーディション番組に出るんでしょ?
楽しみだね。
兄弟のグループメッセージでそんな連絡が来ていたことを思い出す。
練習生生活をしている末っ子は、順調に夢を叶えるべく階段を上っているようだった。
それには血が滲むような努力をしてるだろうが、
イエナが弱音をはくことはなかった。
SM
SM
ね、楽しみだな。
画面でイエナが見れるなんて。
LK
LK
…なんか、緊張するな。
当然ながら、オーディション番組に出たからといってデビューが確約されるわけではない。
その過程で審査され、落とされる可能性だってある。
応援するしかない俺は、見てるだけで心臓が破裂しそうだ。

そんなことを思っていると、スンミナが軽く笑う。
SM
SM
ヒョン、そう言うの案外弱いよね。
僕の大学の合否だって誰よりも緊張してたもん。
LK
LK
…うるせぇ。
俺だって、自分のときはそんなに緊張しなかった。
やれることはやったから、あとは結果を待つだけと思ってたからだ。
ただ、見守る立場は違う。
ダメだったときのガッカリした顔や何かもっと自分にできることがあったんじゃないかと後悔しそうで、
気が気じゃない。
ヨンボガが机に置いたビール瓶を傾けて、一杯煽る。
汗かいたのもあって、染み渡る。
FL
FL
じゃあ、ヒョン!
僕たちと一緒にみようよ。
ヒョンの家行くから、みんなで上映会しよー。
SM
SM
あ、ずるい。
僕もカトク繋いでよ。
FL
FL
いいね!
最終は僕たちも行けたりするのかなぁ。
旅行がてらいいかもね♡
最終審査まで行くことを疑っていない二人に、少し笑いが漏れる。
イエナもこのくらいのテンションで見守られた方が気が楽だろうか。
俺がイエナにできることなんて、頑張れ、とメッセージを送るだったり、
画面の前で手に汗握るくらいだ。
結果がどうなるかはわからないが、次に会うイエナは一回りもそれ以上も成長した姿だろう。
それを楽しみに、またグラスのビールを煽ると、
スンミナに『ヒョン、おじさんくさい』と笑われたので、
また脚を蹴っておいた。





END

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