車出すからシートベルトつけて 、
と声をかけ ハンドルを握ると
ため息をついて 前を向き直すと
肩をグイッと引き寄せられる
何が起こったかと思ったら
黒羽の顔が 、すぐ目の前にある
ファーストキスは
本当に好きな人としたいのに 。
動いたら触れてしまいそうな距離に 、
黒羽がいて 抵抗できなくて
降り掛かってくる唇を
避けることが出来ず 受け入れてしまう
最大限の力を込めた拳を
黒羽に向けて放った 。
私の拳は黒羽を掠めて
窓ガラスに直撃し 、ひびを入れた
驚きのあまりフリーズしている
彼のネクタイを握り 、引っ張る 。
するとその時 、車のドアが開いた
それと同時に動きがピタリととまる
そこを言われたらもう
何も出来ない
すみません 、と黒羽は謝る
偽りの笑みを向け 、
駐車場から去っていった














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。